2004 Fiscal Year Annual Research Report
伝導冷却高温超伝導線材のクエンチ/熱暴走検出・保護技術に関する研究
Project/Area Number |
16360138
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
早川 直樹 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (20228555)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大久保 仁 名古屋大学, エコトピア科学研究機構, 教授 (90213660)
加藤 克巳 名古屋大学, 工学研究科, 助手 (20293665)
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Keywords | 超伝導 / エネルギー貯蔵 / SMES / 伝導冷却 / 臨界電流 / 常伝導伝搬 / クエンチ / 熱暴走 |
Research Abstract |
本研究は,高温超伝導線材を用いた超伝導エネルギー貯蔵装置(SMES : Superconducting Magnetic Energy Storage)におけるクエンチ/熱暴走検出およびその保護技術の開発を目指して,構成上の特徴である伝導冷却状態におけるBi2212/Ag線材の過電流特性および熱的特性を解明することを目的としている.本研究プロジェクトの初年度である平成16年度においては,以下の研究成果が得られた. (1)Bi2212/Ag短尺線材(全長10cm)を配置した真空容器(10^<-4>Pa)を液体ヘリウムで冷却し,内部温度を4.2K〜55Kの範囲で制御することにより,臨界電流(自己磁界,1μV/cm)の温度依存性を取得した.Bi2212/Ag短尺線材はアルミニウム板を介して真空容器と熱的に接触させ,伝導冷却状態を模擬した.その結果,伝導冷却Bi2212/Agの臨界電流は温度低下とともに単調増加せず,飽和傾向または極大値を示すことを明らかにした. (2)Bi2212/Ag線材を用いた超伝導コイル(4層,160ターン,全長36m)を設計・製作し、(1)の実験方法を適用して臨界電流の温度依存性を取得した.その結果,供試超伝導コイルの臨界電流は20K以上では温度の低下とともに約2.5A/Kの上昇率で増加するが,20K以下では飽和傾向を示すことを明らかにした.この実験結果は,高温超伝導SMESの最適運転温度に対する技術的指針となり得る. (3)(1)(2)における臨界電流の温度依存性を解析する熱解析プログラムを開発し,実験結果を理論的に検証した.特に,20K以下の極低温領域における臨界電流の飽和傾向が,Bi2212/Ag線材およびアルミニウムの比熱と熱伝導率の温度依存性に起因するものであることを見出すとともに,電流リード等からの熱侵入の影響を定量化した.
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Research Products
(6 results)