2004 Fiscal Year Annual Research Report
伝導冷却高温超伝導マグネットの設計指針確立のための基礎研究
Project/Area Number |
16360139
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
岩熊 成卓 九州大学, 大学院・システム情報科学研究院, 助教授 (30176531)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柁川 一弘 九州大学, 大学院・システム情報科学研究院, 助教授 (10294894)
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Keywords | 超伝導マグネット / 酸化物超伝導体 / 伝導冷却 / Bi2223 / 熱暴走 / 冷凍機 / クエンチ / 交流損失 |
Research Abstract |
低温超伝導材料を用いた現在の超伝導マグネットテクノロジーは液体ヘリウムの冷却特性の上に立脚し、超伝導マグネット製作上の種々の制約条件は、従来の低温超伝導材料の臨界温度が低いために動作温度を4K程度に低く設定せざるをえないということに端を発している。酸化物超伝導体は、金属系低温超伝導材料と比較して圧倒的に高い臨界磁界、臨界温度を有しており、その活用は超伝導マグネットの応用にあたり、技術、経済面において多大な恩恵をもたらすと考えられる。本研究は、酸化物超伝導線材の応用に際しその特長を活かしたマグネットシステムとして無冷媒の伝導冷却方式に注目し、従来の液体ヘリウムの冷却特性に基づく安定性理論、およびエネルギー回収条件に代表されるクエンチ保護理論等で構城されるマグネット設計指針から脱却して、酸化物超伝導線材を20K以上の温度領域で伝導冷却超伝導マグネットとして用いる場合の設計指針を導体構成法にまで踏み込んで学術的に構築することを目的としたものである。本年度は、すでに開発した伝導冷却Bi2223超伝導コイルを活用して、まずその電磁的、熱的特性を実測し、超伝導コイルの発熱量と冷凍機冷却能力の相対関係等、伝導冷却コイルシステムとしての挙動の定量的把握に努めた。(1)定常特性の把握:線材、コイルそれぞれ個別に直流通電特性、および交流通電により発生する交流損失特性の温度、磁界依存性を測定し、酸化物超伝導コイルの定常特性を明らかにした。(2)過渡特性の把握:伝導冷却超伝導コイルでは、熱暴走に至って超伝導状態が破れる電流値が臨界電流とは別に存在することを明らかにし、直流通電時に熱暴走に至らず連続運転可能な最大電流値の温度依存性、交流(0.05〜数Hz)通電時に連続運転可能な最大電流振幅の温度依存性を測定し、直流、交流それぞれについて、熱暴走に至る限界発熱量と冷凍機の冷却能力との相対関係を明らかにした。(3)伝導冷却酸化物超伝導コイルの動作の普遍的概念の抽出:伝導冷却コイルの安定限界は、冷凍機の冷却能力とコイル全体の発熱量のバランスではなく、局所的な磁束フローによる発熱と巻線内熱伝導率による局所的な冷却能力の大小によって決定される事を突き止め、安定限界の向上が冷凍機の冷却能力に依らない事を明らかにした。
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Research Products
(6 results)