2005 Fiscal Year Annual Research Report
高強度二オブ3スズ線材に対する繰り返し曲げ歪による臨界電流向上の機構解明
Project/Area Number |
16360145
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
渡辺 和雄 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (30143027)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
淡路 智 東北大学, 金属材料研究所, 助教授 (10222770)
西島 元 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (30333884)
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Keywords | Nb_3Sn / CuNb補強 / 臨界電流密度 / 曲げ歪 / 反応後にコイル巻線 |
Research Abstract |
繰り返し曲げ歪による臨界電流の強磁場特性向上を見出してきたが、その応用のために大きなフープ力が印加できるCuNb補強のテストコイルを製作して、コイル形状での臨界電流の向上効果が有効であることを確認した。繰り返し曲げ歪を経験させた線材試料の長手方向Nb_3Snフィラメントに対してSEMを観察を実施した。曲げ歪による線材フィラメントのマイクロクラックと臨界電流向上と劣化の関係、抵抗遷移曲線を表すn値との関係を調べた。その結果、繰り返し曲げ歪みはNb_3Snフィラメントにマイクロクラックを導入することになるが線材の外側に補強材が配置された場合には0.8%の曲げ歪みまではマイクロクラックが急激に増加しないことが判明した。これに対して、補強材が中心に配置された場合には、曲げ歪みが大きくなるにつれてマイクロクラックは増加していく。このことによって、マイクロクラックと臨界電流向上のミクロな関係が明らかになった。また、つくば高エネルギー加速器研究機構の高分解能粉末中性子回折装置を用いてNb_3Sn線材の内部をそのまま透過できる中性子回折実験を行った。その結果、繰り返し曲げ歪みの印加によりNb_3Sn線材の残留応力状態は軸方向も径方向も緩和されることが確認できた。臨界電流向上の機構解明として重要な結果を得られたことになる。さらに、冷温強磁場X線回折装置を用いて、8Kから300Kまでの温度において、Nb_3Snフィラメントのマルテンサイト変態を調べた。実用Nb_3Sn超伝導体は第3元素のTi添加によって抵抗率を大きくしマルテンサイト変態を押さえているものと考えられていたが、実測した結果では一部にマルテンサイト変態が残っていることが分かった。このことは、ブロンズ法で作製されたNb_3Sn超伝導フィラメントに不均一組成が生成されているためと考えられる。したがって、完全にマルテンサイト変態を抑えこめれば、さらに超伝導特性の向上が望めるものと考えられる。
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Research Products
(6 results)