Research Abstract |
電流注入型のGaAs量子細線レーザーの作製のため、海外研究協力者のベル研・ファイファー博士の分子線エピタキシー(MBE)結晶成長装置の基礎試料評価を進めながら,P型ドーパント(カーボン)の導入と条件出し,(110)面上のMBE成長条件のチューニング,その場へき開の成功率の向上などを進めた。また,研究室内で,エッチング,段差測定,金属電極蒸着,アニール,ダイボンディングなどのプロセスが行えるよう整備を進め,IV評価,IL評価,電流電圧端子付クライオスタットヘッドなど電流注入デバイスの評価システムの開発を進めた。電流注入型レーザーの完成にはまだ至っていないが、電流注入による発光、すなわちLED動作の検証には既に成功した。一方、単一の量子細線の吸収を直接測定する導波路透過実験,量子細線レーザーのキャリア密度依存発光スペクトルと利得スペクトル測定,励起子吸収の準定常光学非線形性・単一ドープ量子細線の多体発光・吸収スペクトル測定など,いずれも量子細線レーザーの物理や1次元多体電子正孔系の基礎物理に関わる基礎実験データが取得できた。今後は、より効率のよいへき開端面の顕微鏡観察,常温および低温でのIV・IL測定,電流注入光励起同時発光スペクトル測定システムなどの開発を進め,レーザーバーへき開の成功率を上げ、大学院学生にもプロセス・評価技術を習得してもらい,チームをあげて電流注入レーザー作製に取り組む。T型のpn接合により細線へ効率よくキャリアを注入するためのドーピングの最適化やオーミックコンタクトの取り方が最大の課題と思われるので,重点的に取り組む。
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