2005 Fiscal Year Annual Research Report
電流注入による量子細線レーザーの発振と低しきい値電流の検証
Project/Area Number |
16360148
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
秋山 英文 東京大学, 物性研究所, 助教授 (40251491)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 正裕 東京大学, 物性研究所, 助手 (30292759)
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Keywords | 電流注入 / GaAs / 量子細線 / T型 / レーザー / 分子線エピタキシー / 一次元 / ドーピング |
Research Abstract |
電流注入T型GaAs量子細線レーザーの作製のため、昨年に引き続き、海外研究協力者のベル研・ファイファー博士の分子線エピタキシー(MBE)結晶成長装置の基礎試料評価、P型カーボンドーピングの条件出し、(110)面上のMBE成長アニール条件のチューニングを進め、研究室内で,エッチング,段差測定,金属電極蒸着,アニール,ダイボンディングなどのプロセスが全て行えるよう研究環境整備を進め、絶縁膜の形成プロセスを除きそれらが完了した。絶縁膜の形成は米国・ベル研究所へ出張して行うこととした。大学院学生・博士研究員に、プロセス・評価技術を習得してもらい,細線へ効率よくキャリアを注入するためのドーピングの最適化やオーミックコンタクトの取り方を改善しながら、チームをあげて電流注入レーザー作製と評価に取り組んだ。試料構造としては、電子をT型量子細線のアーム井戸から正孔をステム井戸から注入する従来のスキーム(アーム・ステム電流注入)と、アーム井戸の両側から電子と正孔をそれぞれ注入する新しいスキーム(アーム・アーム電流注入)の2通りの試料を試みた。その結果、H17年度2月に初めて、アーム・アーム電流注入型の試料から、電流注入レーザー発振を観測した。発振は、良好なシングルモード発振であり、発振しきい値電流も0.3mAと小さく、低温ではあるがこれまで報告された他の量子細線の結果と比べて最も低しきい値となっている。3月には、IV評価、IL評価にくわえ、様々な光学計測も行い、実験としては本課題で目指した「電流注入による量子細線レーザーの発振と低しきい値電流の検証」は達成された。論文発表は来年度以降になる。光学実験から、発振しきい値はまだ大幅に改善の余地があることが示されていて、本科研費終了後も、さらに研究を発展させる必要がある。
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