2005 Fiscal Year Annual Research Report
メタマテリル構成法の研究および周波数選択性遮蔽材、レドーム材の実用化開発
Project/Area Number |
16360158
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
畠山 賢一 兵庫県立大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (80305680)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山内 健次 兵庫県立大学, 大学院・工学研究科, 教授 (80047597)
蔦岡 孝則 広島大学, 大学院・教育学研究科, 助教授 (10231432)
藤本 京平 国際科学振興財団, 専任研究員
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Keywords | メタマテリアル / 人工材料 / 電磁波吸収 / 電磁遮蔽 / 共鳴分散 |
Research Abstract |
人工材料として基本的な構成である有限長金属線配列を主に扱い、その等価誘電率について検討した。等価誘電率は共鳴形の分散特性を示すこと、共鳴周波数は金属線長に依存するので任意に調整できること、共鳴周波数より高い周波数では誘電率実数部が負になること、等の特徴は既に前年度において得られている。今年度は、これらの詳細な実験を行い、定量的なデータを得ることと、具体的な電磁波吸収、遮蔽材の設計を行うことを目的とした。 金属線配列材の等価誘電率の共鳴分散において、共鳴周波数は線長がほぼ1/2波長となる周波数である。また、吸収・遮蔽材を構成するときに重要なファクターである誘電率虚数部の最大値(共鳴周波数における虚数部)は、金属線の密度による。理論的には、誘電率虚数部の最大値は波長で規格化した体積を単位体積とする密度である。このことを数10種類の試料を試作して実験的に確認した。この結果は、或る周波数で得た人工材料の誘電率データは、他の周波数帯においても波長で規格化した単位体積あたりの密度を同じくしさえすれば同じ誘電率になるという、電磁波吸収、遮蔽材の設計において基本的な重要な指針を与える。 金属線配列シートを多層に構成してその透過特性を数値的に求め、空間的なバンドパスフィルターを得た。現時点ではシート間は空間であるが、現在誘電体を金属線配列シートで挟んだ構造にすること検討しており、レドーム材として実用的な構成に近づいている。また、この特性は周波数選択形の遮蔽材であり、無線LANや携帯電話の電話が飛び交うオフィスの遮蔽材として応用できる可能性が出てきた。 金属線配列シートはその等価誘電率が負の値を持つことが特徴である。このシートを従来の電波吸収体に積層した広帯域吸収体は既に提案済みである。今年度は更に検討を進め、負の誘電率により、入力インピーダンスの周波数特性が通常の材料とは逆になることを示した。このことは電気回路理論の基本定理であるリアクタンス定理に従う特性とは逆の特性であり、人工材料の持つ独特な性質である。これを利用すれば従来材料とは異なった電波吸収体の設計が可能であることを示した。 誘電率だけではなく、透磁率についても負の値が得られる可能性を実験的に検討した。透磁率については環状金属物体を使用することが既に提案されているが、筆者らは磁性複合材により得ることを検討している。現時点では、透磁率はほとんど0の値が得られており、金属線配列シートと組み合わせて位相速度が負の値になる材料になることは確認している。また伝搬損失が大きいので、電磁波遮蔽・吸収素材としては十分利用できる。これについての詳細な検討結果の発表は次年度に予定している。
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Research Products
(4 results)