2005 Fiscal Year Annual Research Report
10nm級ギャップDNAナノテスターの開発とDNA分子素子の探索
Project/Area Number |
16360177
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
橋口 原 香川大学, 工学部, 教授 (70314903)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
細木 真保 香川大学, 工学部, 助手 (50363180)
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Keywords | DNAピンセット / DNAテスター / アクチン / 微小管 |
Research Abstract |
平成17年度は、まず平成16年度に開発したセルフヒートエッチング法の再現性を確認する実験を行った。その結果、若干形状は変化するものの、ギャップについては100nm以下のものが作製できることが分かった。この後金属電極を蒸着するが、この蒸着の膜厚を制御することで用いてナローギャップDNAピンセットを作製する。このとき、両プローブ間の電流をモニタリングすることで、電界放射電流あるいはトンネル電流が流れることを検知し、ナローギャップの形成を確認するようにした。しかし蒸着源からの輻射熱により膨張して、プローブが接触しているとみられ、その後真空チャンバから取り出すために室温まで温度を下げると、プローブ先端が破壊してしまう問題が生じた。そこで、基板冷却機構を導入し蒸着を行ったところ、破壊することなく蒸着膜厚に対応したギャップが得られるようになった。次に作製したナローギャップDNAピンセットでDNA分子を捕獲する実験を行った。まず通常のDNAピンセットで実績のある長さ16μmのλ-DNA分子の捕獲を試みた。いろいろと条件を変えてみたが、捕獲を確認することはできなかった。次に酵素で切断したDNA分子について実験を行ったが、こちらはナローギャップ間に何らかの物質が捕獲されていることが電子顕微鏡写真で確認できた。しかしその後行った電流-電圧計測では、電圧の増加に対して電流の増加傾向が観測されず、捕獲した物質を介した電流は流れていないと結論づけた。繰り返し実験を行ったが、明瞭な電流は観測することができなった。本実験では、ギャップに対して非常に長いDNA分子が捕獲できなかったが、この点を理解するためDNAピンセットによるDNA分子捕獲のシミュレーターをC++により作製した。DNA分子をバネービーズモデルでモデル化し、ランジュバン方程式を数値的に解くプログラムを作成し、DNA分子の移動を再現した。シミュレータの妥当性を確認するために、通常のDNAピンセット形状によるシミュレーションを行ない、実験とほぼ同様の結果を再現することができた。現在ナローギャップDNAピンセットに適用して、DNA分子の長さを変化させたときの挙動を解析している。さらにDNA分子以外の分子について、溶液中での捕獲時にDNAピンセットを流れる電流変化がないか実験を行った。その結果、アクチン分子と微小管について、溶液中で捕獲されるとそれらの分子を通して電流が流れることが確認された。現在捕獲される量と流れる電流量の関係についてさらに実験を進めている。
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Research Products
(1 results)