2005 Fiscal Year Annual Research Report
機能性バイオフォトニック薄膜を用いた全光IP通信用信号処理デバイスの研究
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16360179
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Research Institution | Chitose Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
吉田 淳一 千歳科学技術大学, 光科学部, 教授 (40316295)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 壮一 千歳科学技術大学, 光科学部, 教授 (80326595)
張 公儉 千歳科学技術大学, 光科学部, 助教授 (00305955)
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Keywords | 光IP / フォトニックネットワーク / 光デバイス / 光導波路 / 有機材料 / DNA / フォトクロミック色素 / 光論理素子 |
Research Abstract |
本研究は,二重らせん構造の塩基対の間に光学色素をインターカレートすることによって強い蛍光増幅効果や非線形光学効果をはじめとして,種々の光機能性の発現が可能なDNAを用いたバイオフォトニック機能薄膜をキーマテリアルとし,石英や半導体材料のみでは不可能であった強い非線形光学特性等を利用した光信号処理デバイスの実現を目的とする。DNAに関して,従来は材料研究や医療への応用研究が主であったため,これを積極的に光学デバイスへ応用しようとする研究はまだ始まったばかりである。従って,世界的にもまだ研究報告が少なく,材料の適用性を明確にしつつ光波制御素子および論理素子についてプロトタイプデバイスの実現を目指すことを,本研究の第一目標としてきた。 平成17年度は,今までの研究で明らかとなった最も安定な脂質と色素混合比などの組合わせにより作製したDNA-脂質複合薄膜にフォトクロミック色素をドープし,そのフォトクロミック変化の前後での屈折率変化あるいは吸収係数変化を利用した高速光路切替素子として,光-光制御よるon-off応答速度を評価し、制御光強度に依存した速度の改善効果があること,ならびに数十ms程度の応答速度を実験により確認した。得られた値は現在の実験系での装置リミットであり,これ以上早い応答速度の実測はできなかったが,実験結果は励起光強度を増すとさらに高速化が可能な傾向を示しており,従来石英系等で報告されている熱光学効果型と同等以上の高速動作が期待できるものと考えられる。また,より高機能な光論理素子などの動作を実現するために回折格子内蔵型デバイスへの展開をめざした素子製作プロセスの検討を進めた結果,基板上の溝にDNA-脂質複合体薄膜を埋込んだ光導波路を形成し,紫外線干渉照射によって誘起させた回折格子パターンを使って伝播する信号光を制御するタイプの動作原理確認を行った。まだ,膜圧・露光条件等の最適化が必要であるが,1:2程度のon-off比が観測され,高機能化素子への適用性を確認したので,今後さらに詳細に検討を進める。
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Research Products
(3 results)