2006 Fiscal Year Annual Research Report
高分解能ブリユアン光散乱法による薄膜の弾性分布測定法の開発
Project/Area Number |
16360209
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
松川 真美 同志社大学, 工学部, 教授 (60288602)
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Keywords | ブリユアン光散乱 / 弾性分布 / 薄膜 / 顕微光学系 / 超高周波音速 / 縦波 / 横波 |
Research Abstract |
平成18年度は下記の研究を行い、大変良好な成果を得た。 1.散乱ピーク測定時のSN改善に関する検討 平成17年度に改良した薄膜の高周波縦波および横波音速の同時測定系を用いて、音速の高精度測定手法の検討を行った。特に、熱フォノン測定だけではSNが良好でないため、アクティブに超高周波域の横波フォノンを試料中に励起する手法について検討した。試料へのコヒーレント横波フォノンを励起する手法について、様々な検討を行った結果、試料側壁に平成17年度に開発したZnO横波発振デバイスを直接成膜する手法に着目した。ZnO横波デバイスの成膜と電極作成手法は困難であったが、石英平板試料の側面に成膜と電極蒸着に成功し、ZnOデバイスが数百MHzに基本モードをもつ横波トランスデューサとして動作することを確認した。この3次モードあるいは5次モードの共振周波数付近でトランスデューサを励起し、試料中のブリユアン光散乱を観測したところ、通常熱フォノンの10万倍以上の強さの光散乱観測に成功した。この結果は、横波測定時間の大幅な短縮を意味しており、試料中の音速分布など、多数の測定や異方性測定などが容易に行える劇的な効果をもたらした。また、非常に強い光散乱により、散乱光の周波数シフト測定精度も向上し、縦波と同様あるいはそれ以上(0.1%)程度の音速測定精度が得られた。この手法はZnO発振デバイス状に各種試料を付着させてその音速を測定するなど、試料とデバイスの位置を考慮することにより、さまざまな試料の測定に応用できる可能性があり、大変有用である。 2.測定の自動化の検討 試料の引張試験装置と光散乱計測系のコンピュータ取り込みの自動化を図り、遠隔観測システムが可能となった。また、顕微光学系にCCDカメラを設置し、光学系の簡単な切り替えによって、試料上の観測微小領域の光学像を取り込めるよう改良した。顕微光学系内の試料保持台を自動化し、これもコンピュータ制御によって、試料上の音速分布測定可能なシステムを構築した。
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Research Products
(6 results)