2005 Fiscal Year Annual Research Report
睡眠呼吸障害をもつ心不全患者に対する酸素投与法の検討
Project/Area Number |
16360211
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
荒木 光彦 京都大学, 工学研究科, 教授 (60026226)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
陳 和夫 京都大学, 医学研究科, 助教授 (90197640)
古谷 栄光 京都大学, 工学研究科, 助教授 (40219118)
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Keywords | 睡眠時無呼吸 / 酸素飽和度 / モデル化 / 心不全患者 / 持続陽圧呼吸療法 |
Research Abstract |
睡眠時無呼吸症候群は,夜間の睡眠時に無呼吸・低呼吸による低酸素血症を頻回に繰り返す睡眠呼吸障害であり,とくに心不全患者の場合,予後が悪化するうえに心房細動が誘発される可能性も指摘されている.睡眠時無呼吸症候群の治療法としては,持続陽圧呼吸療法が有効であるが,心不全患者に多い中枢性睡眠時無呼吸では使用感が悪いため実際には適用されず,また次善の策である一定流量での酸素投与では酸素飽和度の低下を十分に制御できない. そこで本研究では,睡眠呼吸障害をもつ心不全患者の酸素飽和度を適切なレベルに維持するための酸素投与法の確立を目的として,昨年度構成した酸素投与に対する酸素飽和度変化のモデルの検証を行うとともに,シミュレーションに基づいて酸素飽和度の制御法について検討を行った. まず,昨年度モデル化に用いたデータに加えて,酸素投与が必要とされる心不全患者の酸素飽和度,心拍数,血圧,脳波,いびきの回数,胸部・腹部の動き,気流に対応する換気圧を,酸素非投与時と1L/minで酸素投与中に2時間だけ3L/minで投与した場合の測定データを用いて,モデルの検証を行った.その結果,換気圧により有呼吸時と無呼吸時を分離し,それぞれモデル化を行う方法により得られたモデルは,心不全の影響と考えられる酸素飽和度の急激な変化がない場合には,酸素投与による酸素飽和度の変化を表せるが,心不全の影響を適切に考慮することは現在の測定データのみからでは困難であることがわかった. また,得られたモデルを利用した酸素飽和度の制御法については,有呼吸時には通常のフィードバック制御による酸素投与速度の調整で酸素飽和度の調整が可能であるが,無呼吸時にはまず有呼吸にする必要があり,現在のモデルでは十分な検討が行えなかった.持続陽圧呼吸療法と同様の酸素投与速度変化による呼吸状態の変化を何らかの形でモデル化する必要があると考えられる.
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