2005 Fiscal Year Annual Research Report
地図情報の提示形態に着目した都市街路における場の定位に関する研究
Project/Area Number |
16360251
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
窪田 陽一 埼玉大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (50134333)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
深堀 清隆 埼玉大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (70292646)
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Keywords | 場の定位 / 認知地図 |
Research Abstract |
本研究は都市街路の空間構成が歩行者の場の定位(位置把握)に及ぼす影響を評価するものである。本年度はネットワーク化された街路網全体の構成の違いを考慮した場の評価を行うこととした。また昨年度導入したURBAN-VIEWERによるCGの仮想街路を発展させ、さらに正確な映像再現の可能な映像提示システムにより評価実験を行う。評価対象とする基本道路構造は、区画整理において見られる格子状街路である。このような構成は、空間、景観体験の変化が乏しいため、自分の位置を見失いやすく、わかりやすい都市とは言えない。そこで格子状街路に場所の手がかりとなるような特徴を付与する効果を実験により検証した。モデル地区として街路網パターンの異なる7つのモデルを作成し、その地区内を自由に移動しながらその体験を記憶する被験者実験を行った。そこでは、スケッチマップ法より被験者のイメージマップを抽出すると同時に、方向認知、再歩行の経路選択をさせ、それらの精度を地区のわかりやすさの指標とした。認知地図の観察からは、被験者のグループ分けを行い、グループごとに街路網把握や再歩行、方向感覚の間違え方に関する傾向を探って、街路網との関係について考察を加えた。これについては格子状街路内に斜めに道路が通ることによる道路交差角度の変化や、進行方向の視線が遮られるT字路が、空間構造把握のしやすさに効果的な景観変化であることが言えた。 さらに、各街路網の「再歩行のしやすさ」と、被験者の「経路記憶タイプ」の関連を分析した。その結果、「鳥瞰タイプ」がどの街路網パターンにおいても正確な再歩行に有効であることや、景観変化が多い街路網においては「シーン・動作連動タイプ」が有効にはたらくなど、各街路網パターン別に効果的な記憶タイプを明らかにした。以上の分析を総括し、各街路網パターンが有する空間的わかりやすさと、パターン間のわかりやすさに関する優劣を示した。
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