2005 Fiscal Year Annual Research Report
生物生息空間の自己修復機能を有する水域環境設計手法
Project/Area Number |
16360264
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
楠田 哲也 九州大学, 工学研究院, 教授 (50037967)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久場 隆広 九州大学, 工学研究院, 助教授 (60284527)
大石 京子 九州大学, 工学研究院, 助手 (20110835)
山西 博幸 佐賀大学, 低平地研究センター, 助教授 (20240062)
松井 誠一 九州大学, 農学研究院, 教授 (60038297)
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Keywords | 水域 / 生物生息空間 / 保全 / 環境設計 / HEP / カワスナガニ / 五ヶ瀬川 / 北川 |
Research Abstract |
宮崎県の五ヶ瀬川水系北川にて、環境省によりデータ不足種とされているカワスナガニの保全を図るための基礎データとして、カワスナガニの生息数調査を実施した。2002年に調査を開始して以来、350万個体から減少を続けていたが2005年の5万個体を最低に2006年度には増加し始めた。この減少は洪水のような物理的なものや捕食によるものではなく、自然変動によるものが多い。 生物生息環境指標を算出するための手法としてHEPを利用した。その結果、幼生は高塩分を好み、成体は低塩分を好むこと、また、成体はスナガニでありながら巣穴を掘らないので隠れ家となる10mm-20mm程度の礫床を好むことが明らかになった。 カワスナガニの孵化および幼生育成を試みた。S型ワムシによりゾエア期を育てることが可能になったが、メガローパに育てるにはさらなる工夫がいる。低水温では生存率は高くなるが成長速度は遅くなることも明らかになった。 甲殻類の幼生の遺伝子解析手法による同定を試みた。16SrRNAの400の長さにより識別できそうであることを明らかにしたが、殻によるコンタミを避けるための技術開発が必要である。 河川の流況と塩分移動をモデル化し、シミュレーションを行った。選好性を条件にし、生残り戦略を検討した。その結果、海域への流出を回避するために、高塩分である塩水楔の先端近くに存在させると生残効率が高くなることが判明した。幼生の密度も生残率が高くなるように大きくなっている。走行性は必ずしも生残率を高めない。 河川の蛇行形態、河床の形状と粒度分布を制御する手法の開発を試みた。出水時に土砂の堆積が起こる可能性が高いが、上流から輸送されてくる土砂の粒度と量が不明であり、予測は今後の課題とした。ただ、細粒の土砂を塩水楔の進入地点に留めないように蛇行を調整する必要があることを明らかにした。
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Research Products
(1 results)