2005 Fiscal Year Annual Research Report
浅水域での底泥・懸濁物輸送が干潟形成と生息生物に及ぼす影響とその評価
Project/Area Number |
16360266
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
山西 博幸 佐賀大学, 低平地研究センター, 助教授 (20240062)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒木 宏之 佐賀大学, 低平地研究センター, 教授 (70117315)
日野 剛徳 佐賀大学, 低平地研究センター, 講師 (20295033)
大石 京子 九州大学, 大学院・工学研究院, 助手 (20110835)
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Keywords | 有明海 / 底泥 / 懸濁物質 / シミュレーション / 巻き上げ / 沈降フラックス / 選好性 / アゲマキガイ |
Research Abstract |
1.干潟周辺域の流況・水質調査及び数値シミュレーション 調査は,七浦干潟域に設置した自動昇降型水質測定装置とドップラー流速計にて行われた.そのほか別に設置している観測塔2基を境界にもつ領域を計算領域とし,水平方向は100m×100m,鉛直方向は0.5mで6層に分割した.計算結果は,上げ潮時の底層部で懸濁物質(SS)が高くなる現象を再現したものの,下げ潮干出前の高濃度を表せず,巻き上げおよび沈降限界剪断力を一定値のままで一潮汐間全てを表現できなかった.このことより,上げ潮と下げ潮で沈降過程に違いがあることが理解された. 2.懸濁物質の輸送特性と干潟堆積物の堆積環境 干潟上の水中懸濁物をセジメントトラップにより採集した結果,大潮時で2.54kg/m^2/day,小潮時で0.46kg/m^2/dayであった.これら沈降フラックスの平均値と音響測深器による地盤高変化とは一致せず,観測された沈降フラックス値の7〜8割は波や流れにより再懸濁し,水中に回帰しているといえる. 全有機炭素量TOCの沈降フラックスは,SSフラックス同様,小潮に比べ大潮が大きく,底面付近で大きくなる.また,捕集された沈積物のCODとTOCには明瞭な相関が認められた.このときの直線の傾きαや切片βの値は流況や季節にも依存している. 3.干潟堆積物の底質環境と底生生物の生息調査 底泥表面による酸素消費速度は平均して50.3(mgO_2/m^2/h)であった.また,SSによる酸素消費はその濃度が高くなるに従って上昇したが,500(mg/l)を越すと,酸素消費速度が逆に減少した.これは,懸濁物の凝集効果によってSS内部のDO拡散輸送障害が起こるためだと考えられる.さらに,底泥を強制的に巻き上げさせた場合,単位時間当りの巻き上げ量が増加すれば,それに伴い酸素消費速度も上昇した.これらは,夏場に干潟周辺域で観測される貧酸素水塊の生成に底泥や懸濁物の酸素消費が関与している可能性を示唆するものである. アゲマキガイの生息選好性については,塩分,粒度(d_<50>),AVSに関する選好曲線を求めた.これらを乗じた評価式にて,底質改善区と非改善区のアゲマキの生息生残数を評価した.
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Research Products
(1 results)