2005 Fiscal Year Annual Research Report
重金属微量汚染の検出・浄化を同時に達成する複合工学技術の開発
Project/Area Number |
16360267
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Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
遠藤 銀朗 東北学院大学, 工学部, 教授 (80194033)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 寛治 東北学院大学, 工学部, 教授 (90382655)
芳生 秀光 摂南大学, 薬学部, 教授 (80101294)
清野 正子 北里大学, 薬学部, 講師 (30239842)
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Keywords | 低濃度重金属汚染 / 水銀汚染 / 浄化技術 / バイオセンサー / 複合工学技術 |
Research Abstract |
昨年度に分子育種した水銀浄化微生物(merR-o/p-merT-merP-merB-ppkをもつ)をアルギン酸ナトリウムにより固定化処理を施した後、種々の環境ストレスの共存下における水銀浄化活性を調べた結果、本固定化細胞は生活排水、工業廃水あるいは医療廃水中に含まれる可能性のある洗剤、他の重金属あるいは塩素等の消毒剤の共存下にも水銀化合物を効率よく浄化できることを見出した。また、水銀汚染モデル土壌を作製し、土壌中の水銀浄化・回収における本固定化細胞の利用性を調べた結果、土壌の酸洗浄水中の水銀浄化にも利用可能であることが判明した。次に、昨年度に作製したpMOG42(merR-o/p-merT-gfp-gfp)にmerBを組み込んだセンサープラスミドpMOB4212(merR-o/p-merT-merB-merB-gfp-gfp)を構築した。本センサーの有機水銀検出感度は5x10^<-8>gであった。本センサーは肉眼で水銀を検出することができるので重金属汚染現場への適用性が高いと思われた。 メチル水銀やフェニル水銀等の有機水銀検出用バイオセンサーを開発するために、数種の細菌からクローニングした有機水銀分解遺伝子(merB)の基質特異性について調べた。その結果、各merB遺伝子は、異なる分解特性を付与することが明らかとなり、有機水銀の化学種ごとの検出の可能性が知られた。 水銀トランスポーターMerCを酵母ベクターpYES2に組換えたプラスミドpYC3.111を作成し、酵母へ形質転換した。酵母内での遺伝子の転写誘導はガラクトースによって行った。ベクターpYES2をもつコントロールにおいて、ガラクトース前処理の有無にかかわらず水銀蓄積量の差異は殆ど認められなかった。一方、pYC3.111をもつクローンにおいて、ガラクトース前処理群は未処理群に比べて約1.5倍高い水銀蓄積量が認められた。ガラクトース前処理群における水銀蓄積量の反応時間依存性を調べたところ、pYC3.111をもつクローンにおいて、反応時間が1.5から4時間の時点でコントロールに比べて約2倍高い水銀蓄積量が認められた。しかしながら、反応時間が21時間と長い場合にはpYC3.111が示す取り込み量はコントロールと顕著な差異は認められなかった。このことからMerCに支配される水銀の取り込みは4時間までの比較的短時間においてプラトーに達している可能性が示唆された。今後、酵母においてさらに水銀を高蓄積させるためにMerCを解毒器官である液胞に発現させるエンジニアリングを行う予定である。
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Research Products
(3 results)