2005 Fiscal Year Annual Research Report
既存鉄骨造建物の接合部現有性能検証と耐震性能再生技術の開発
Project/Area Number |
16360277
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
吹田 啓一郎 京都大学, 防災研究所, 助教授 (70206374)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 正愛 京都大学, 防災研究所, 教授 (00207771)
諸岡 繁洋 東海大学, 工学部, 助教授 (80273522)
金尾 伊織 京都大学, 工学研究科, 助手 (80372564)
聲高 裕治 京都大学, 工学研究科, 助手 (80343234)
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Keywords | 鋼構造 / 耐震性能 / 耐震補強 / 溶接接合 / 非破壊検査 / 既存建物 |
Research Abstract |
1969年に建設された2階建て鉄骨建物1棟を対象に選び,構造形式,使用部材,柱梁接合部を中心とする接合部の接合詳細を調査して当時の鉄骨建物の構造詳細を調べた.特に柱梁接合部については溶接品質を外観検査とマクロ試験,各種材料試験,化学成分分析などにより調べ,また柱梁接合部の一部を切り出した部分架構を対象に動的載荷実験を行ってその塑性変形変形能力を調べ,この当時の鉄骨建物の品質と性能について以下の知見を得た. 1)柱部材と柱梁接合部には現在の鉄骨建物とは異なる当時の特徴的な断面および接合形式が見られた.すなわち,柱は溝形鋼2本を抱き合わせてシーム溶接により矩形断面を構成している.現在の角形鋼管が普及していない時代に2方向特性の高い断面を得る目的で使用されたことが分かった.柱梁接合部はノンダイアフラム形式でH形鋼梁を溝形鋼柱に隅肉溶接接合されていて,これも現在は見られない形式である. 2)柱梁接合部の隅肉溶接を対象にマクロ試験,ビッカース硬さ試験,化学成分分析,引張試験を行った.一部にサイズ不足が見られるが溶込みは確保されており,基本的な品質に関する問題はないが,一部の溶接の積層方法に技量不足が見られた. 3)柱梁接合部を含む部分架構の載荷実験を実施し,その破壊特性と塑性変形能力を検証した.柱梁耐力比は4以上あって柱の塑性化が先行する部材構成であるが,溝形鋼2本をシーム溶接接合した柱でも安定した履歴特性を示し,最大変形角0.067radに達した.終局は梁端フランジの隅肉溶接の破断によるもので,ノンダイアフラム形式の接合部における柱の局所的な変形がこの破断を促進したと考えられる. 4)部材,骨組の構成や接合の方法が現在と異なり大きな塑性変形能力を期待できないとされている構造であるが,それでも部材耐力のバランスから変形性能の高い損傷の受け方となり,耐震性能は低くはないことが明らかにされた.
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Research Products
(4 results)