2005 Fiscal Year Annual Research Report
局所地形と大気温度層分布形状の相互作用による突風災害発生メカニズム
Project/Area Number |
16360279
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
前田 潤滋 九州大学, 大学院・人間環境学研究院, 教授 (40128088)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
友清 衣利子 九州大学, 大学院・人間環境学研究院, 助手 (30346829)
内田 孝紀 九州大学, 応用力学研究所, 助手 (90325481)
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Keywords | 局所風 / 強風災害 / 台風 / 風速プロファイル / 山稜地形 / 大気安定度 |
Research Abstract |
本研究は、強風時に山稜を超える山麓付近での強風増速メカニズムについて,地表面温度層の分布状態に着目し,地形形状との相互作用がより大きな突風の発生にどのように関わることを検証しようとするものである。 1.温度勾配の発生方法として,床面の冷却ボックスに加えて山稜表面にも加冷出来るように模型を工夫し,さらにニクロム線を使用した接近流上層部の加熱装置を設置して,より高いフルード数状態の実現を図った。 2.温度勾配を調整し,弱安定に分類されるフルード数6程度の安定度を有する接近流の場合について、山稜2次元模型を越える風速分布状況を計測した結果、中立状態での結果に比べて明確な差が見られず,より高い安定度での検証が必要であることがわかった。 3.風の道になりやすい谷筋での流れに着目し,谷筋を有する2次元山稜模型を使った風洞実験計測を中立状態で行った。谷筋深さなど限定したパラメータではあるが,風下山麓部に風速増加域が発生し,単純2次元山稜地形とは顕著な差が見られることがわかった。 4.上記実験結果を市販の流体解析ソフト(STAR-LTとRIAM-COMPACT)で比較検証したところ、平均風速に対しては実験結果との対応が概ね見られるが,乱れ成分や最大瞬間風速では末だその乖離は大きいことがわかった。従って,強風災害に直接関係する最大瞬間風速の予測には,実験やシミュレーションデータの整理においてさらなる工夫が必要である。 5.台風経路から300km離れた地域にもかかわらず,2004年の台風0423号による被害が集中した佐賀県小城市付近での,強風増速の主因をその地域北部に鎮座する天山山地(標高1000m)の地形影響に絡ませて,流体数値シミュレーションを実施したところ,災害時の風向方向に一致する天山山地の浅い谷筋によって小城市近辺で強風が増速することが分かった。しかしながら,フルード数3程度の安定成層時でのシミュレーション結果からは,中立時との顕著な差は見られず,また,天山山地での強風観測記録と比較したところ,シミュレーション風速波形は,観測波形に比べて短周期の乱れ成分がほとんど含まれず,最大瞬間風速を精度良くとらえることが出来なかった。
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Research Products
(6 results)