2006 Fiscal Year Annual Research Report
新しい微動アレイ探査法を用いた地下構造推定に基づく強震動予測
Project/Area Number |
16360281
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Research Institution | TOKYO UNIVERSITY OF SCIENCE |
Principal Investigator |
篠崎 祐三 東京理科大学, 工学部, 教授 (80026236)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
多田 卓 東京理科大学, 工学部, 助手 (40349840)
堀家 正則 大阪工業大学, 工学部, 教授 (80221571)
長 郁夫 (独)産業技術総合研究所, 地質情報研究部門, 研究員 (10328560)
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Keywords | 常時微動 / 地盤探査 / 強振動予測 / アレイ観測 / 表面波 / レイリー波 |
Research Abstract |
都市域等におけるきめ細かな強震動予測のためには、局所的な地下地盤構造を簡便かつ経済的に知ることのできる手法が確立されることが望ましい。そのような手法として近年有望視されているものの一つに、微動探査法がある。微動探査とは、常時微動、すなわち地震時以外にも絶えず生じている地盤の微小な振動を地表面で計測し、その記録を解析することによって、地盤を伝わる表面波の特性を評価するために用いられる諸手法の総称である。得られた表面波の特性を手がかりに、間接的な形で地下地盤構造や地盤の震動特性を推定することが可能である。 微動探査の有力な手法の一つに「空間自己相関法(SPAC法)」がある。これは、円周上の等間隔の数点および中心点に地震計を設置して常時微動の同時測定(アレイ観測)を行い、その記録の解析により表面波の位相速度分散曲線を推定するものである。昨年度までの研究を通じて我々は、SPAC法の理論を新しい視点から再解釈し発想を転換すれば、円形アレイを用いる微動探査手法が他に幾種類も定式化可能であることを提唱してきた。その中でも、我々が「中心なし円形アレイ法(CCA法)」と名づけた新手法は、その適用可能な波長範囲が他に例を見ないほど広く、注目に値する。 本年度は、多数の野外サイトでさまざまな大きさの円形アレイを展開し、微動の実データを精力的に収集しながら、得られた記録をCCA法によって解析し、その実用性を検証する試みを集中的に行った。その結果、半径1m内外というきわめてコンパクトなアレイの場合でさえ、CCA法を用いればその半径の100倍程度に相当する波長帯域まで、レイリー波の位相速度を精度良く推定できることが示された。これにより、障害物等の多い都市部でも、極小円形アレイを展開することにより、ある程度深部までの地盤構造を比較的容易に推定することのできる、新たな可能性が開かれたものと期待される。
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Research Products
(5 results)