2004 Fiscal Year Annual Research Report
ファサードエンジニアリングの統合化による都市環境の改善
Project/Area Number |
16360283
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
岩田 衛 神奈川大学, 工学部, 教授 (50322532)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹内 徹 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (80361757)
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Keywords | ファサードエンジニアリング / 環境負荷 / 構造要素 / 都市景観 |
Research Abstract |
大都市の諸問題に対する統合ファサードの基本機能を、都市景観の改善、防災・耐震性能の改善、環境エネルギー負荷より考え、既存のファサードシステムを調査し、機能因子の設定および妥当性の検討を行う。検討は、建築専門誌「日経アーキテクチュア」の過去12年にわたるファサードに関する事例を抽出し、都市景観面を考慮したデザイン軸、防災・耐震面を考慮したシェルター機能軸、環境・エネルギー面を考慮した環境軸の3軸に沿った評価を行う。 対象とした1993〜2005年は日本においてDPG工法やMPG工法等を用いたサッシュレスガラスによるファサードがヨーロッパから導入された時期であり、ガラスの皮膜を伴うものが多く見られる。2003年以降は、多様な素材を駆使してファサードを構成する試みや、主要な構造体として考える事例も現れ、景観適合性を意識した設計も増える傾向にある。 シェルター機能軸では、評価対象がファサードの必要条件であるため、評価点のばらつきは他軸に比べ小さい。大規模建築物ではより高いレベルの外乱に対し設計されているため、評価点と建物騒動がリンクする傾向が見られる。一方、小規模なデザイン重視の建物では、耐震性や耐風性が明確に評価できないものが見られた。2003年以降ファサードを構造体として一体化する設計も出てきているが、制振、エネルギー吸収機能を一体化したものについては殆ど見られない。 環境軸では、環境負荷や省エネルギーを考慮しているといない建物で、点数の差が大きく見られる。初期の透明建築においては、気候の異なるヨーロッパのデザインをそのまま踏襲し、ガラス皮膜に生じる熱負荷を空調により強引に制御する手法、またはファサードを北面に配置することで夏季の熱負荷を回避する手法が一般的であった。しかし、1990年代末より次第にわが国の気候風土を反映し、ダブルスキン、エアフローウィンドウやガラス間ルーバー、外付けルーバー等を駆使し、実効的な日射制御や断熱性を意図したファサードが多く見られるようになってきている。 過去12年にわたるファサード建築の機能を分析し、提案した評価項目がある程度の安定性を持つこと、3つの評価軸は互いに独立性が強いことが示された。以上より建築物のファサードは、異なる独立した機能が位置的には高度に集約した部位であると言える。
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