2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16360311
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
山崎 陽太郎 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 教授 (50124706)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷山 智康 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 講師 (10302960)
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Keywords | 光スピン励起 / スピン注入 / 磁性金属 / スピンフィルター |
Research Abstract |
本研究では、円偏光を直接遷移型半導体GaASに照射することで、GaAS中にスピン偏極電子を励起し、その上に成長したFe細線等の磁性合金にスピン偏極した電子を注入し、GaASと磁性合金との間のスピン依存伝導について調査することを目的としている。 具体的には、線幅0.7μmのFe細線/Alox/GaAs接合試料を電子線リソグラフィーおよび超高真空成膜装置を用いて作製し、細線方向に磁場を印加することでFe細線の磁化を配向させた。この状態に対して、GaAs基板面に垂直に磁場を印加し、波長865nmの円偏光をGaAs基板に照射した。その際、磁場方向と円偏光の進行方向とが平行、反平行の状態に対してそれぞれ、GaAsとFeの間を流れる光電流のヘリシティ依存性を計測した。その結果、ヘリシティ依存光電流は温度の上昇とともに増加し、200K付近で特徴的な構造を示した。一方、通常の無偏光を照射したときの光電流は200K付近に特徴的なプラトーを示した。これらのヘリシティ依存光電流と光電流とから、GaAs中に励起したスピン偏極電子のFe細線によるスピン選択率を求めた結果、200K付近でスピン選択率が最大値を示すことが明らかとなった。光電流の特徴的な温度依存性から、この200Kにおけるスピン選択率の最大値はAlOx層を介したスピン依存トンネル伝導に起因したものと解釈され、スピン選択率を向上させるためにAlOx層が有効であることが示唆された。しかしながら、スピン選択率は2%程度であり、更なるスピン選択率の向上のためには、接合界面のより緻密な制御が必須であると考えられる。
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Research Products
(2 results)