2004 Fiscal Year Annual Research Report
ゲルマニウムおよびシリコン過冷却融液における熱・物質の輸送特性
Project/Area Number |
16360320
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
稲富 裕光 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究本部・宇宙環境利用科学研究系, 助教授 (50249934)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗林 一彦 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究本部・宇宙環境利用科学研究系, 教授 (70092195)
長汐 晃輔 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究本部・宇宙環境利用科学研究系, 助手 (20373441)
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Keywords | 半導体融液 / 電磁浮遊 / 熱物性 / 対流 / 静磁場 |
Research Abstract |
平成16年度は、大口径超伝導マグネットに電磁浮遊炉を組み込んだ畳重磁場電磁浮遊装置を改良して、シリコンおよびゲルマニウム融液を浮遊させることに成功した。その際、高出力CO_2レーザーにより試料を予備加熱することで、ドーパント濃度が極めて低い同一試料を繰り返し浮遊させることが出来た。この装置を用いてシリコン融液を浮遊させた結果、OTでは融液が激しく振動して、体膨張率の計測を試みたがデータのばらつきが大きかった。その一方、1T程度の静磁場印加で振動が強く抑制され、4〜6Tでは画像解析装置で形状変化を計測したが殆ど振動は見られず、ばらつきの少ないデータから体膨張率を求めることに成功した。また、Ar-He混合ガスの吹き付けによる試料冷却機構を組み込み、また真空チャンバーの一部改良により、シリコン融液の場合では1358K〜2015Kの幅広い温度範囲での熱物性測定を出来るようにした。特にこの場合約330K程度の大過冷状態を安定して達成するようにしたことは特筆すべきことである。また、溶融試料に酸化物を付着させて試料表面を観察したが、6Tの印加では振動は止まるものの緩やかに自転することを明らかにした。これは、高周波加熱・浮遊コイルの形状に起因した非軸対称性の融液内の誘導電流によるものであると考えられる。但し、融液全体が剛体球的に回転することから、強い静磁場の印加により融液内の対流は強く抑制されているものと考えられる。この予想は、数値流体力学計算用コードFIDAPを用いて、Lorentz力および試料表面からの輻射を考慮して融液中の対流挙動を解析した結果からも裏付けられた。また、ファイバー式放射温度計を浮遊チャンバーに組み込み、黒体輻射炉の輻射強度との比較によりシリコン融液の分光輻射率の温度依存性を求めたが、その値は高須賀らの報告した輻射率とほぼ同じと見なして良いことを明らかにした。
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Research Products
(2 results)