2006 Fiscal Year Annual Research Report
ゲルマニウムおよびシリコン過冷却融液における熱・物質の輸送特性
Project/Area Number |
16360320
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Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
稲富 裕光 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究本部, 助教授 (50249934)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗林 一彦 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究本部, 教授 (70092195)
長汐 晃輔 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究本部, 助手 (20373441)
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Keywords | 過冷却 / 熱伝導率 / Wiedemann-Franz則 / シリコン / ゲルマニウム / 密度 / 拡散 |
Research Abstract |
1)数値流体力学用計算コードFIDAPを用いた数値計算の結果に基づいて導電性融液の対流および回転の両者が強く抑制される条件を求めて、超伝導マグネットのボア内の浮遊コイルおよび融液の位置を決定した。そしてその条件を満たすように実際に勾配磁場をシリコン融液に印加して、その表面の一部に酸化膜を付けて融液の形状や回転速度を高速度カメラにより解析した結果、勾配磁場において試料の回転速度が若干低減したものの、磁場の強さの低下による試料の振動の若干の増大が観察された。 2)当初懸念されていたゲルマニウム融液の蒸発速度が反応チャンバー内の不活性ガスの圧力を調整することで軽減できることを実験的に確認した上で、純ゲルマニウム融液での密度・熱伝導率計測をシリコンと同様の方法で行った。その結果、純ゲルマニウム融液の熱膨張率は純シリコンと同様に過冷却状態においても1E-4 1/Kであり、両融液は共に金属的であることが解析により示された。 3)純ゲルマニウム融液での熱伝導率計測を昨年度のシリコンでの計測と同様の方法で行った。その結果、計測値は20%程度のばらつきが見られたものの自由電子モデルに基づいて熱伝導と電気伝導度、温度との関係を示すWiedemann-Franz則による計算値に概ね近い値を示した。この結果から、対流がない場合はシリコン、ゲルマニウム融液中の熱輸送の担体が共に自由電子であることを明らかにした。 4)ゲルマニウムを下部に、シリコンを上部に配置した試料を浮遊させ、青色領域のバンドパスフィルターを介して得た融液画像から融液表面での濃度分布を求めた。そして、その分布の時間変化に基づいて相互拡散係数を求めた。その結果、表面での拡散係数は剛体球モデルから予想された値よりも2倍以上大きいことを明らかにした。
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Research Products
(5 results)