2005 Fiscal Year Annual Research Report
ケイ酸塩ガラスの安定不混和現象を利用した高輝度発光材料の作製
Project/Area Number |
16360333
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
安盛 敦雄 東京理科大学, 基礎工学部, 教授 (40182349)
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Keywords | ケイ酸塩ガラス / 不混和現象 / 発光 / ユーロピウム / アノーサイト / フレスノイト / 分相 / 結晶化 |
Research Abstract |
近年、次世代型ディスプレイの開発が進み、高解像度画像実現などのために、蛍光体の平均粒径を小さくしたいという要望が高まっている。本研究では、前年度に行ったEuイオンをドープしたY_2O_3-Al_2O_3-SiO_2系結晶化ガラスの結果を基に、ガラス化が容易でかつ安定不混和領域を持つCaO-Al_2O_3-SiO2:Eu系、また準安定不混和領域を持つNa_2O-B_2O_3-SiO_2:Eu系、さらに前年度に引き続いて行った蛍光賦活剤を添加しないBaO-TiO_2-SiO_2系の、主として3種類の材料を溶融・急冷法を用いて作製し、長期安定性を持つ高輝度発光材料を実現することを目的とした。平成17年度は、主として組成・結晶相・分相組織の及ぼす蛍光特性への影響について調査を行った。 その結果、CaO-Al_2O_3-SiO_2系ではガラス試料の熱処理により分相およびAnorthite(CaAl_2Si_2O_8)相の析出を確認した。また試料は紫外光照射により主としてEn^<2+>による青色発光を示したが、その発光強度の増大にはAnorthite相の析出量では無く、分相が起源と思われる結晶の微細化が有効であることが示唆された。また、結晶を有さないNa_2O-B_2O_3-SiO_2系ガラス試料においては、Eu^<3+>による赤色発光強度が分相組織の大きさに応じて変化し、やはりガラス中の組織が微細なほど蛍光強度が増大することがわかった。一方BaO-TiO_2-SiO_2系の青色発光でも、fresnoite(Ba_2TiSi_2O_^<78>)相の析出量では無く、分相領域のガラスからfresnoite相を析出させることが強度の増大に有効であるという結果が得られた。 これらの結果から、多重散乱効果など分相を起源とするガラス内部の組織が関与した現象により、発光強度の増大がもたらされている可能性が示唆された。
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