2004 Fiscal Year Annual Research Report
革新的共振超音波顕微鏡の開発とマイクロ・ナノ複合材料の弾性率絶対計測
Project/Area Number |
16360336
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
平尾 雅彦 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 教授 (80112027)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荻 博次 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 助教授 (90252626)
垂水 竜一 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 助手 (30362643)
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Keywords | 薄膜 / 弾性定数 / 共振 / 無線・無電極 / 顕微鏡 |
Research Abstract |
本研究計画においては,ナノ・マイクロスケールの領域の局所弾性定数を絶対的に測定するための新しい超音波共振顕微鏡を開発することを目的としている.自由振動をする振動体に物質が接触すると,振動体の共振周波数は接触物質の弾性定数を反映して変化する.したがって,振動体の共振周波数を測定することで接触物質の局所領域の弾性定数を評価することが可能となる.ところが,一般の圧電振動子には必ず導電性薄膜や電極が使用されており,また,機械的に保持されている.これらは振動子の振動に多大な影響を及ぼし,それは試料との接触による影響をはるかに上回る.本研究では,振動子としてランガサイトを用い,またモード解析により振動形態を計算して振動の節を介して振動子を保持する.平成16年度においては,ランガサイト共振振動子を用いて,マイクロ領域の弾性定数マッピングを行う技術を確立した.ランガサイトは水晶と同じ結晶対象性を示す圧電体であり,水晶よりも弾性定数の温度依存性が小さく,温度補正を必要としない測定が可能でありまた,水晶よりも圧電定数が大きいために,ソレノイドコイルから発せられる電場を用いることにより,無線・無電極による共振周波数の測定が可能となった.また,接触にともなう共振周波数の変化率を計算する理論モデルを構築し,定量的に弾性定数を決定する手法の指針を確立した.ヘルツ理論に基づく異方性ヤング率というパラメータを導入し,接触部分を非線形ばねと仮定して系のエネルギに取り入れ,共振周波数の計算を行うことに成功した.純銅や二相ステンレス鋼に適用し,マイクロ領域の弾性定数の定量測定の実現が可能となった.次年度においては,さらなる感度の向上と高分解能化を目指す.
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