2004 Fiscal Year Annual Research Report
熱電発電材料をめざす金属間化合物相のフォノン散乱による熱伝導率低減と性能向上
Project/Area Number |
16360345
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
木村 好里 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 助手 (90262295)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三島 良直 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 教授 (00143660)
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Keywords | 熱電発電用材料 / 金属間化合物 / 熱伝導率 / 置換固溶 / 粉末冶金法 |
Research Abstract |
熱電発電材料の性能は、電気的特性である熱起電力と電気伝導率の積として表される出力因子、熱的特性である熱伝導率によって評価される。本研究では熱伝導率を低減することによって性能向上を目指すため、熱電発電材料の候補としてハーフホイスラー型金属間化合物であるTiNiSn、ZrNISn、HfNiSnに着目した。これまでに我々はハーフホイスラー単相合金の作製を試みており、ZrNiSnおよびHfNiSnの単相化に成功している。TiNiSnの単相化の問題点を明確にすることを目的として、各合金系のハーフホイスラー相を中心に相平衡と状態図情報を詳細に調べて比較を行った。組織観察と示差熱分析の結果から、TiNiSnは3元包晶反応によって形成するため溶融凝固法による単相化が困難であることが分かった。この結果を踏まえ、光学式浮遊帯法の条件を検討しながらTiNiSnの単相化を引き続き行う。本研究ではフォノン散乱により熱伝導率の格子成分を効率よく低減することを考えている。(1)各原子サイトの同族元素による置換固溶、(2)粉末冶金法による界面の導入という2つの方策が挙げられる。まずHfとZrが互いに置換固溶する(Hf, Zr)NiSnの単相合金を用いて、HfとZrの組成比を変えて熱伝導率の低減効果を調べた。効果により熱伝導率は低減し、(Hf_<0.5>,Zr_<0,5>)NiSnの組成付近で最も効果的に低減することを明らかにした。電気的特性はほとんど損なわれないため、熱電発電材料として極めて高い性能を示す。次に、(Hf_<0.5>,Zr_<0,5>)NiSn単相合金を粉砕してホットプレス法により焼結し、界面導入による熱伝導率の低減効果を調べた。しかし予想に反して、熱伝導率の低減は観察されなかった。今後、ホットプレス条件の検討、電気的特性との関連を調べることにより熱伝導率の低減効果に及ぼす諸因子について詳しく検討する。
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