2005 Fiscal Year Annual Research Report
熱電発電材料をめざす金属間化合物相のフォノン散乱による熱伝導率低減と性能向上
Project/Area Number |
16360345
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
木村 好里 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 助手 (90262295)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三島 良直 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 教授 (00143660)
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Keywords | 熱電発電用材料 / 金属間化合物 / 熱伝導度 / 粉末冶金法 / 複合組織 / 逆位相界面 |
Research Abstract |
700℃付近の高温度域で使用できる熱電発電用の有望な候補材として、n型の優れた熱電特性を示すハーフホイスラー型の金属間化合物MNiSn(M=Hf,Zr,Ti)合金に着目する。一般にハーフホイスラー化合物は電気的な熱電特性に優れていることから、比較的高い熱伝導度を低下させることが材料開発の鍵である。熱伝導度Kはキャリアである電子の寄与成分K_<el>とフォノン散乱に係る格子の寄与成分K_<ph>の和として決まる。つまり優れた電気的特性を維持しながら熱伝導度を低減することは難しく、効果的にK_<ph>を低下することが重要である。本研究ではフォノンの効果的な散乱源を積極的に導入してKphを低下させる方法を考え、粉末冶金法を用いて界面を多量に導入する方法を主体とする製造プロセスによるK_<ph>の低下を目指す。(Hf,Zr)NiSn合金をホットプレスによって作製した昨年度の結果を踏まえ、本年度はホットプレス条件の最適化を行った。焼結温度1000℃、付加荷重50MPa、3時間というホットプレス条件に加え、昇温時に荷重を段階的に徐々に付加すること、焼結時間経過後に速やかに抜重してから徐冷することによって微小き裂の発生を効果的に抑えることができ、理論密度98%以上を有する健全な試料が作製できる。従来法で作製した試料は潜在するき裂のために熱伝導度が過大評価される傾向にあり、測定値の比較だけでは大きな差異は確認できない。予想を覆して電気伝導度が劣化しないため、より積極的に熱伝導度を低減する策としてZrO_2粉末を混入した試料の作製を試みた。その結果、平均粒度を45μm程度に調整し、ZrO_2粉末の体積率を1から3%とすることで試料の作製ができることを明らかにした。今後、熱電特性の評価を行って性能向上を目指す。
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