2005 Fiscal Year Annual Research Report
マルテンサイト系耐熱鋼のクリープ余寿命評価法の開発
Project/Area Number |
16360347
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中島 英治 九州大学, 大学院・総合理工学研究院, 教授 (80180280)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 賢一 九州大学, 大学院・総合理工学研究院, 助手 (20335996)
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Keywords | マルテンサイト / 耐熱鋼 / クリープ損傷 / 内部組織変化 / 余寿命評価法 / Ω法 / SEM / EBSP法 |
Research Abstract |
マルテンサイト系耐熱鋼は化学プラントや火力発電、原子力発電などの高温・高圧部に使われる重要な高温構造材料である。発電プラントの発電効率の向上や地球温暖化ガスの発生抑制のためには蒸気温度・圧力をより高温・高圧にする必要がある。ところが、現在、火力発電などに用いられている耐熱鋼はすでに20年間使用されたものもあり、これからあと何年使用できるか、材料の寿命診断を精度良く行う必要がある。そこで本研究では、マルテンサイト組織の特徴を利用した高温クリープ余寿命評価法を開発することを目的とした。また、クリープ曲線をΩ解析して、組織劣化因子とΩ値の対比を行う。 昨年度、本研究で導入した結晶方位解析システムを用いて、マルテンサイト系耐熱鋼である改良9Cr-1Mo鋼のブロック境界とパケット境界の定量的な判別を行った。今年度研究対象とした耐熱鋼は高クロム鋼であり、バナジウム(V)やニオブ(Nb)の量を調整して添加したものである。結晶方位解析の結果、全ての鋼種において旧オーステナイト粒界、パケット境界およびブロック境界が判別可能なマルテンサイト組織を有していた。Vの添加量を変化させても旧オーステナイト粒径などマルテンサイト組織に大きな変化はなかったが、Nbの添加により旧オーステナイト粒径が小さくなり、組織に影響を与える添加物の効果を明らかにできた。 これらの鋼種についてΩ法によるクリープ曲線の解析を行った結果、V添加量の増加によりΩ値が上昇し、Nb添加量の増加によりΩ値が減少することを明らかにした。マルテンサイト組織や析出物との相関により、これらの現象が生じたと考えられ、来年度はTEMを用いた解析も行い、詳細に組織因子とクリープ挙動の相関をつかみ、余寿命評価法を確立させる。
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Research Products
(3 results)