2006 Fiscal Year Annual Research Report
アーク作動中タングステン電極のin-situ診断によるプラズマ・陰極系の現象解析
Project/Area Number |
16360365
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田中 学 大阪大学, 接合科学研究所, 助教授 (20243272)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西川 宏 大阪大学, 接合科学研究所, 助教授 (90346180)
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Keywords | アーク / タングステン電極 / 熱陰極 / 仕事関数 / レーザ計測 / その場観察 / 電子エミッター / 添加量 |
Research Abstract |
本研究は,波長可変レーザによる光電効果を利用してアーク作動中タングステン電極の実効仕事関数を測定すると同時に,作動中の陰極表面を観察することにより,多方面からプラズマ・陰極系をin-situに診断・解析することを目的としたものである. 前年度までの成果により,電子エミッターを添加することによりタングステン電極の実効仕事関数が純タングステン電極に比べて低下することが明らかになったが,わずか2%程度しか添加していないにも関わらずこの現象が見られるのは,電子エミッターが電極表面に移動して表面を覆っていることを示唆するものと考えられた. そこで本年度では,まず,デジタルマイクロスコープを導入して作動中のタングステン電極表面の静的な様子を高解像度に観察するとともに,高速度デジタルビデオカメラによる動的な観察を加えることにより,電子エミッターが溶融した状態でごく薄く電極表面を覆っていることを確認した.なお,その厚さについては未だ不明である. これを受けて,これまでに得られた実効仕事関数と文献調査によって得られた電子エミッターの融点を大気圧アークプラズマの数値解析モデルに反映させることにより,タングステン電極からアークプラズマに亘る作動状態の数値計算シミュレーションを実行した.電子エミッターの融点以上に高温になったタングステン電極の表面領域においてのみ測定された実効仕事関数を反映させるとともに,融点以下の領域は純タングステンの仕事関数を仮定することにより,今まで経験的に知られていたタングステン電極の種類によるアーク放電のプラズマフレーム形態の相違を定量的に説明することに成功した.また,予測されたタングステン電極表面温度は従来の測定値とよく一致し,本研究による解析の妥当性が示された.
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Research Products
(1 results)