2005 Fiscal Year Annual Research Report
高温電気化通電法による金属パイプからの水素(およびその同位体)漏洩遮断技術の開発
Project/Area Number |
16360373
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
武津 典彦 名古屋工業大学, 工学研究科, 教授 (80029355)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗田 典明 名古屋工業大学, 工学研究科, 助教授 (20292401)
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Keywords | 水素透過 / アルミナ / 固体電気化学 / 固体イオニクス / 耐熱合金 / 電気化学ポンピング |
Research Abstract |
電気化学的遮断の定量的な評価を行うため昨年度に続いて多結晶アルミナ管を用いて、水素透過に及ぼす電圧印加の効果を詳細に調べた。試料となる多結晶アルミナのパイプの内外面に白金多孔質電極を設け、内部に水素を、外部にアルゴンガスを流し、印加電圧に依存して外部に透過してくる水素を電量滴定型水素分析装置で測定した。両極に電圧を印可した場合に試料を流れる電流は短時間で一定値を示すが、透過してくる水素量は徐々に変化し、一定値に至る緩和時間は非常に長い事が認められた。これは、試料中の水素の化学ポテンシャル分布が印可電圧の大きさに対応して変化し、それに見合うだけ溶存水素量が変化し、余分の水素が化学拡散により放出されることによるものと考えられる。この放出量を、アクセプタードープのアルミナの電荷補償欠陥は主に正孔であり、その一部が侵入型プロトンで置換されているとした欠陥構造モデルに基づいて検討したところ、その雰囲気依存性、印加電圧依存性を旨く説明できることを明らかにした。これに基づいて市販多結晶アルミナに対する水素の溶解度を推定した。また、1300℃で0.8V程度の電圧を印可して十分な時間放置すると、水素の透過量は殆ど零となることが確認され、安定なアクセプタードープのアルミナ膜が金属パイプの表面に作成することが出来れば、当初計画した通電型の水素透過遮断が原理的に可能であることが明らかになった。 ついで昨年から問題となっていた、基材となる金属表面に酸化膜が生成する場合に見られる過渡的な基材金属への水素のポンピング現象の解明を試みた。ガス中の酸素ポテンシャルにより酸化、還元の制御が容易なFeを用いモデル実験を行った。実験の結果、以下のことが明らかになった。(1)Feの酸化膜生成時には、過剰の水素が基材Fe中にポンピングされること。(2)酸化還元を繰り返すことにより過剰に基材Fe中にポンピングされる水素量が減少すること。(3)酸化膜を十分に還元した後に、再び酸化雰囲気に曝した場合、再び過剰に水素が基材Fe中にポンピングされること、等が明らかになった。しかしながら、定量的には再現性があまり得られておらず、来年度はこの点に関してより詳細な解析を行う予定である。
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Research Products
(6 results)