2005 Fiscal Year Annual Research Report
新規な溶媒を用いる電気化学プロセスによるナノ構造複合材料の創製
Project/Area Number |
16360374
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
粟倉 泰弘 京都大学, 工学研究科, 教授 (70109015)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平藤 哲司 京都大学, 工学研究科, 助教授 (70208833)
邑瀬 邦明 京都大学, 工学研究科, 助教授 (30283633)
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Keywords | 金属電析 / 非水溶媒 / イオン液体 / 常温溶融塩 / 水分含有量 / 粘度 |
Research Abstract |
本研究で用いたイオン液体、TMHA-Tf_2Nは、全く新しい溶媒であり、基礎的な性質がいまだよくわかっていない。そこで、このイオン液体中の水分量を調べるとともに、電析浴として用いるために重要であると思われる、動粘度、電気伝導度を測定した。 イオン液体中の水分量は温度の上昇とともに減少した。例えば、温度25℃で、2400ppm程度含まれていた水分が、130℃では200ppm以下程度にまで減少した。イオン液体中に金属イオンが存在すると、その水分量は純粋なイオン液体に比べて増加した。例えば、100mM Niイオンを含むイオン液体溶液の、25℃における水分量は10000ppm程度にまで増加した。この増加した水分量をNiイオン1個あたりに換算すると、Niイオン1個につき5.6個の水分子となる。この数は水溶液中のNiイオンの水和数に近い数であることから、100mM Niイオン液体溶液の可視吸光スペクトルを測定したところ、水分を十分に含む条件では、SO_4溶液のスペクトルと一致した。この結果から、イオン液体中のNiイオンが水和していると考えられる。 TMHA-Tf_2Nの動粘度は温度の上昇および水分量の増加とともに低下した。一方、電気伝導度は温度の上昇および水分量の増加とともに上昇した。温度の上昇によるこれら物性の変化は、水分量の増加による変化に比べて非常に大きかった。TMHA-Tf_2Nの動粘度と電気伝導度の関係は、金属イオンの有無に関わらず、Walden則に従った。従って、このイオン液体における導電は、このイオン液体の構成イオンであるTMHA^+イオン、Tf_2N^-イオンおよび金属イオンによって発現していることがわかった。 イオン液体、TMHA-Tf_2Nのガラス転移温度、結晶化温度、融点をDSC測定によって推定した。金属イオンが存在することによって、TMHA-Tf_2Nのガラス転移温度、結晶化温度は上昇し、融点は低下することがわかった。 以上の結果は、このイオン液体を電析浴に応用する場合、高温で用いることが有効であるといえる。
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Research Products
(1 results)