2006 Fiscal Year Annual Research Report
新規な溶媒を用いる電気化学プロセスによるナノ構造複合材料の創製
Project/Area Number |
16360374
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
粟倉 泰弘 京都大学, 工学研究科, 教授 (70109015)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平藤 哲司 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (70208833)
邑瀬 邦明 京都大学, 工学研究科, 助教授 (30283633)
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Keywords | イオン液体 / 室温溶融塩 / 電析 / めっき |
Research Abstract |
本年は、銅-スズ合金を電気化学的にめっきする方法として、銅素地上でスズ原子を還元析出させ、銅原子とスズ原子の相互拡散によって合金を形成する手法に着目した。この手法では固体内の拡散が速いことが重要であるため、高い熱的安定性を持つ疎水性イオン液体TMHA-Tf2Nを溶媒として用い、100℃以上の中温域でめっきを行うことでより速い製膜速度を達成し、その反応について調べることを目的とした。その結果、以下の知見を得た。(1)電位0V vs.Sn2+/Sn以上の範囲でのサイクリックボルタモグラムより、金属スズの浸漬電位より貴な電位でSn(II)イオンが還元されることがわかった。(2)イオン液体を用いた接触めっき法により、銅板表面を銅-スズ合金化した。得られた皮膜は光沢のある銀白色を呈しており、その組成を調べたところ、Cu6Sn5、Cu3Sn、Cu10Sn3の金属間化合物が形成されていた。浴温150℃での製膜速度は、水溶液系(浴温90℃)での値に比べて3倍以上であり、イオン液体を用いる接触めっき法により水溶液系に比べより速い製膜速度を達成した。(3)定電位めっき法で銅板表面を銅-スズ合金化したところ、形成される金属間化合物は電位に依存していた。電位+40mV以下では光沢のある銀白色の皮膜を得られたが、+50mV以上では、黒い皮膜しか得られなかった。(4)銅薄膜に接触めっきを行い、薄膜全体を銅-スズ合金化した。この時、alpha-Sn相の析出も起こった。alpha-Sn相中には銅がわずかに固溶しているため対極の金属スズに比べてスズの活量がわずかに小さくなっており、その活量の差が駆動力となって接触めっきが進行したと考えられる。
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Research Products
(3 results)