2006 Fiscal Year Annual Research Report
ジアステレオマー形成およびラセミ化を併用する優先晶析法による高度光学分割プロセス
Project/Area Number |
16360380
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
松岡 正邦 東京農工大学, 大学院共生科学技術研究院, 教授 (40016671)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
滝山 博志 東京農工大学, 大学院共生科学技術研究院, 助教授 (40251582)
羽田 麻衣子 東京農工大学, 大学院共生科学技術研究院, 助手 (90365883)
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Keywords | 光学分割 / ジアステレオマー / ラセミ化 / 光学純度 |
Research Abstract |
化学合成で生成するラセミ体は、ラセミ化合物とラセミ混合物に分類される。ラセミ化合物系では片方の異性体のみを結晶として得ることはできないが、ラセミ混合物系では、両異性体をそれぞれ結晶製品として得ることが可能である。ラセミ混合物系の代表的な分割操作として「優先晶析操作」があるが、操作の後半で非目的異性体が析出し始める現象を防ぐ必要がある。一方、ラセミ体の多くを占めるラセミ化合物にはジアステレオマーを形成させて目的異性体を得る晶析法が試みられてきたが光学純度の向上、分割剤の探索、収率の向上が課題とされている。本研究では以下の二つの実験的な研究を行いラセミ体の効果的な分割プロセスを確立することを目的とした。 ラセミ混合物系の優先晶析実験では種結晶表面の核発生挙動を観察し、結晶の純度低下及び溶液組成の変化のデータを合わせて解析した。分割が進むにつれて非目的異性体の過飽和良が増加して閥値を越すと目的異性体の結晶の表面で非目的異性体が自然核化すること、およびその閥値以下の過飽和度では溶液本体から核が発生して純度低下を起こすことを明らかにした。また種結晶の洗浄により純度低下が遅れると報告されているがその現象は、溶解によって種結晶の表面が異なる結晶面に変化する結果核が発生しなくなるためであることを明らかにした。 ラセミ化合物を形成する系に対しては、ジアステレオマー形成反応に加えてラセミ化反応を同時に行わせることによって目的異性体の収率の向上のみでなく、非目的異性体の蓄積を防ぐことができて製品結晶群の光学純度が向上することを実験によって明らかにした。また、ラセミ化反応速度およびジアステレオマーの析出速度を解析してプロセス全体の速度をシミュレーションにより解析した結果、光学純度および収率が最も高くなる条件を見出すことができ、従来の報告に比べて優れた分割を実験で確認することができた。
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