2004 Fiscal Year Annual Research Report
ソフトコロイドの高度分離におけるダイナミクスの解明
Project/Area Number |
16360382
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
入谷 英司 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 教授 (60144119)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
向井 康人 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (30303663)
片桐 誠之 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助手 (00345919)
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Keywords | ソフトコロイド / 濾過 / 圧搾 / 遠心分離 / 膨張 / 濾過比抵抗 / 空隙率 / ゲル状ケーク |
Research Abstract |
本研究では、微生物、ゲル粒子、エマルション粒子、タンパク質のようね生体高分子、粒子が緩く集合した凝集粒子といった、変形能が極めて大きく分離困難な"ソフトコロイド"を対象とした粒子・流体系分離のダイナミクスを解明することにより、最適操作の設計に必要な情報を提供することを目的とする。本年度は、微生物のデッドエンド定圧濾過、エマルションの濾過・圧搾および遠心分離、ゲル粒子の定圧圧搾などについて検討を行った。 菌体スラリーの精密濾過の検討では、スラリーpHおよびイオン強度の濾過性への影響について、濾過ケークの濾過比抵抗(濾過の難易度の指標となる)の観点から調査し、スラリーpHおよびイオン強度により濾過性が大きく変化することを確認した。また、ゼータ電位および疎水性度などの特性値と濾過性との相関性が確認され、菌体表面の物理化学的性質が、スラリー中の粒子の凝集、分散状態に関与し、スラリーの濾過性を左右することが示された。 O/W型エマルションの濾過では、濾過終了後も圧力を作用し続けると、圧密現象が生じることが明らかとなり、油滴粒子の体積分率が極めて大きく、剛体粒子の最密充填の値を下回るような極めて低い空隙率(含水率)のゲル状ケーク(ゲルエマルション)が生成されることを示した。また、その生成過程が圧密理論により精度よく解析できることを明らかにするとともに、圧密期間の試験結果からゲルエマルションの特性値を推定する方法を新たに提案した。さらに、生成したゲルエマルションの油滴粒子が極めて高い圧縮性を示すこと、ならびに濾過期間と圧密期間のケーク特性の関連性を明らかにした。また、遠心浮上によるO/Wエマルションの濃縮脱水を行い、生成される圧密クリーミング層の平衡厚さの観測に基づき、ゲルエマルションの挙動を示す圧密クリーミング層の特性に関する知見を得た。 高吸水性ゲル粒子充填層について、定圧圧搾と膨張試験を行い、圧力と空隙率との関係を明らかにし、ケークの圧縮性を評価した。また、溶液中の塩の存在がゲル粒子充填層の変形挙動に大きな影響を及ぼすことを明らかにし、塩溶液の有効浸透圧を考慮することにより、機械的圧力と塩溶液の浸透圧が同時に作用した場合のゲル粒子充填層の圧密および膨張挙動を、圧密理論に基づき精度良く評価できることを示した。
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Research Products
(6 results)