2005 Fiscal Year Annual Research Report
光重合反応による自己組織的ミクロ構造形成のメカニズム解明
Project/Area Number |
16360391
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山口 由岐夫 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (20332570)
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Keywords | 自己組織化 / 光重合反応 / 縞構造 / フィードバック / 重合開始剤 / 光強度分布 / マイクロゲル / 光透過率 |
Research Abstract |
研究代表者らは、光重合により作成した薄膜大面積フィルム(10cm2)に10ミクロンオーダの規則構造を持たせ、光透過性を90%以上カットすることに成功した。この現象は従来から知られているミクロ相分離構造とは全く異なり、光重合過程に発生する自己組織化構造である。用途は色々期待され、例えば、(1)視野角制限フィルム、(2)液晶ディスプレイにおける透過、反射、拡散、偏光等の機能を有する各種部材、(3)光導波フィルム、などがあげられる。さらに優れた機能を実現するために、光重合過程における自己組織化構造形成のメカニズムの解明を目的とした研究を実行した。その結果、以下のことが明らかになった。 (1)ミクロ相分離構造ではない。 (2)照射光強度は弱すぎても、強すぎても構造はできない。 (3)重合開始剤濃度が薄すぎても、濃すぎても構造はできない。 (4)マイクロラマンの結果、重合の粗密構造が観察された。 (5)反応速度の変曲点においてゲル化し、ゲル化後に構造形成が起きる。 さらに、反応工学的解析を実施し、総合的に考察した結果、メカニズムの本質を以下のように考えている。 光反応速度定数kは光の強度に依存する。しかも、シグモイド関数のように、特定の光強度に対し、変曲点を有する。この結果、一様な光が場に照射されても、光反応で生成するミクロゲル(ポリマー)の光吸収と光散乱の結果、場の中に光強度分布が発生する。これは、反応速度定数の光強度の微分値が最大を取ること(変曲点)と対応し、この光強度より低い場合には、空間的に光強度の強い領域と弱い領域に空間的不均一化を起こすことにより、全領域の光反応を促進することができる。このように、光強度分布を引き起こす主体は反応生成物であり、この存在が光強度分布をさらに増長させ、正のフィードバックを起こす。現在、数理方程式を立て具体的に解いている段階である。これまでの成果の一部は既に論文として報告した^<(1)>。 (1)Takafumi Uematsu, Akira Watanabe, and Yukio Yamaguchi, "Self-Organization of Striped Pattern of Refractive Indices in Photopolymer Film", Journal of Polymer Science : Part B : Polymer physics, Vol.42,3351-3358(2004)
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