2005 Fiscal Year Annual Research Report
グリーンバイオケミストリーを目指したファージ表層工学の展開
Project/Area Number |
16360408
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
丹治 保典 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 助教授 (00282848)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮永 一彦 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 助手 (40323810)
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Keywords | バクテリオファージ / 大腸菌 / 表層工学 / 緑色蛍光タンパク質 |
Research Abstract |
昨年度の研究によりT偶数系ファージの一種であるT2ファージ表層に外来タンパク質を提示するシステムを開発した。本年度はそのシステムを用いヘパリナーゼとキシラナーゼをファージ表層へ発現することを試みた。ヘパリナーゼはヘパリンを分解する脱離酵素であり、キシラナーゼはキシランの加水分解酵素である。システムの利用により容易にヘパリナーゼ及びキシラナーゼを表層発現する組換体ファージを分子構築することができた。しかし、酵素の比活性は低くかった。外来タンパク質の発現用プラットフォームとして用いたSOCタンパク質の発現数に限りがあることと、ファージ濃度が低かったことが原因として考えられる。限外ろ過膜を利用することにより組換ファージ濃度を高める工夫を行う予定である。 ファージ表層にマーカータンパク質を提示することにより、特定細菌の迅速検出を試みた。環境水中の大腸菌は、直接又は間接的なヒトや動物などの糞便による汚染の可能性を意味する。近年、大腸菌だけを特異的に検出できる試験方法が開発され、厚生労働省は水道法の水質基準にある大腸菌群の項目を大腸菌に変更した。しかし、公定法では菌体の培養過程が必要なため、計測結果が出るまでに数日を要する。当研究室でT4e^-ファージの外殻上に緑色蛍光タンパク質(GFP)を提示させたT4e^-/GFPファージが分子構築された。当ファージを用いて大腸菌K12(W3110)の迅速蛍光検出が可能となった。ところがT4は下水流入水中の大腸菌に対して感染域が狭いことがわかった。本年度は下水流入水から単離されたT偶数系ファージのうち、下水流入水中の大腸菌に対しT4よりも広い感染宿主域をもったファージにGFPを提示させ、かつ溶菌能を欠損させたファージの分子構築を目的に、ファージのスクリーニングとGFPによる蛍光標識化を行った。大腸菌に対し比較的広い感染宿主域を持ったファージ2種を単離した。溶菌酵素をコードしているgene-e内にgfpを内部挿入し、溶菌能の欠失と蛍光標識化を行った。しかし、SOCにGFPを融合した組換ファージに比し比蛍光強度が低かったため、SOCへの共発現も同時に行う予定である。
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Research Products
(6 results)