2005 Fiscal Year Annual Research Report
花粉症などのアレルギー疾患に有効な「スーパー抗体酵素」の開発
Project/Area Number |
16360416
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Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
宇田 泰三 県立広島大学, 生命環境学部, 教授 (20232837)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
一二三 恵美 県立広島大学, 生命環境学部, 助教授 (90254606)
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Keywords | 抗体酵素 / アレルギー / 花粉症 / ペプチダーゼ / プロテアーゼ |
Research Abstract |
「スーパー抗体酵素」とは、抗体として抗原に特異的に結合するだけでなく、抗体そのものが抗原を酵素的に破壊する事ができる画期的な分子を言う。本研究では現在、有効な治療法がなくて困っている多くの自己免疫疾患患者(花粉症やアトピーなど)に的を絞り、この治療を目的とした「スーパー抗体酵素」を作製する事である。昨年度までにヒトIgEをBalb/cマウスに免疫し、細胞融合によりいくつかマウス型抗IgEモノクローナル抗体を作製したが、さらに抗体の遺伝子配列を決定し、いくつかのモノクローナル抗体に触媒三ツ組残基様構造が存在するする事を明らかにした。そこで今年度は5H5抗体に焦点を当て、この抗体の抗体酵素としての可能性を以下のように検討した。 1,精製抗体5H5を2-mercaptoethanolを使って重鎖、軽鎖に切断し、再結合を防ぐためのiodoacetamide処理を行って、サイズ排除クロマトグラフィーによりこれらの重鎖、軽鎖を完全に分離し、PBS中でrefoldingを行った。 2,次いで、5H5抗体軽鎖を用いて、ペプチド基質TP41-1に対するペプチダーゼ活性を検討したところ、これまでに見出した抗体酵素と同様に誘導期及び活性期の2相性の分解曲線を描きながら約100時間でTP41-1ペプチドを分解した。 3,抗原にヒトIgEを用いて5H5抗体軽鎖による分解実験をおこなったところ約50時間当たりからヒトIgEの切断が起こり始め150時間で数10%のヒトIgEが分解された。 4,現在、抗体酵素によるヒトIgEの切断箇所を調べているところである 世界で初めて花粉症などのI型アレルギーの原因物質であるヒトIgEの機能を消失させると思われる抗体酵素の作製に成功したと言える。
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Research Products
(3 results)