2004 Fiscal Year Annual Research Report
円形断面放電室をもつ微小電力ホールスラスタの開発研究と内部物理過程
Project/Area Number |
16360420
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田原 弘一 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 助教授 (20207210)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上松 和夫 石川島播磨重工業(株), 基盤技術研究所, 部長(研究職)
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Keywords | ホールスラスタ / 電気推進 / 宇宙推進 / 推進性能 / プラズマ / 小電力 / マイクロサテライト |
Research Abstract |
本研究の目的は、高性能の微小電力ホールスラスタの開発を目指し、新しい円形断面放電室をもつホールスラスタを設計・製作し、性能特性を調べると共に、プラズマ生成・イオン加速過程を明らかにすることである。そして、それらの研究結果から、スラスタ設計のための相似則を構築する。 本年度は、従来の円環状チャンネル構造の中心部を取り払い(上流方向に引っ込め)、円形断面の放電室をもつ微小電力・小型ホールスラスタを開発研究した。磁場形成には永久磁石を用い、強磁場を発生させる。これは、これまでの電磁石を用いた小型化がその必要な強度と空間のために困難になることによる。さらに、チャンネル中心部を無くすことによって、プラズマ体積/壁面積比が大きくなり、磁石配置が容易になる。このスラスタでは、磁力線の集中する磁石近傍・中心軸上でのエネルギー損失、イオンビーム軌道の湾曲損失などが考えられるが、主放電空間をできる限り径方向外側に形成させ、磁場形状を工夫することにより、これらの損失を低減させる。投入電力レベルは5Wから100Wであった。 まずホールスラスタの作動特性に与える加速チャネル壁材料の影響を調べるため、加速チャネル壁にBN、BNSiN、BNAlNを用いて作動実験を行った。その結果、多くの作動条件においてBNAlNを用いた場合に高い推力が得られ、BN、BNAlNを用いた場合に放電電流が低く抑えられた。これらから、BNAlNを用いた場合に推進効率が最も高くなった。放電電圧300V、推進剤流量2.0mg/sにおけるそれぞれの加速チャネル壁における推進性能は、BNを用いた場合、推力33.3mN、比推力1703秒、推進効率40.9%、BNSiNを用いた場合、推力33.5mN、比推力1715秒、推進効率38.5%、BNAlNを用いた場合、推力36.9mN、比推力1887秒、推進効率49.8%を得た。
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Research Products
(6 results)