Research Abstract |
毎秒100〜700メートルの範囲で直径3.2ミリのアルミニウム合金球を用いた低速衝突実験を,CFRPアルミニウムハニカムパネルに接着された太陽電池セルに対して行ない,衝突痕形状とデブリ衝突速度の関係を調査した.この結果,衝突速度の違いにより6つの損傷状態(ダメージレベル)に識別でき,これにより衝突痕形状から3つの速度領域に区分することが可能であることが分かった.また,毎秒150メートル以上の衝突でセルを貫通する損傷が発生した揚合,その太陽電池セルの発生電力量はほぼ零になることが分かった.これより微小なデブリといえども,衛星の発生電力に影響を与える可能性があり,その存在を無視することができないことが明確になった. 一方,衛星本体側にカメラを取り付けてパドルを観測する際は,カメラの視野範囲に制限が生じる可能性が考えられた.そこでカメラによる観測を補助するために,デブリ衝突位置,時刻の同定を目的とした音響(AE)センサの使用を検討した.そしてその基礎検討実験として,今回は2個のAEセンサを取り付けたCFRPハニカムパネルへ衝突実験を行い,2つのAEセンサを結ぶ線分(長さ330ミリ)上へ衝突した位置を算出した.そして位置精度誤差が±約19ミリという結果が得られ,同センサを用いて衝突の起きた太陽電池セルを同定することは十分可能であることが判明した. 以上のことから,AEセンサによって観測される振動波形から衝突位置,時刻を得,次に,カメラの撮影画像から,衝突物の寸法,衝突速度,衝突角度といった情報を得る,といったAEセンサとカメラを用いた複合観測システムの妥当性を示した.また,今後は衛星搭載カメラと太陽電池パドルに組み込んだAEセンサを複合的に用いた複合カメラ観測システム,もしくは観測カメラ,AEセンサなどの観測機器を全てパドルに組み込んだ,観測機能つき太陽電池パドルの2つの設計方針が立案できた.
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