2005 Fiscal Year Annual Research Report
船舶の波浪中運動と操舵による操縦運動の総合シミュレーション計算法に関する研究
Project/Area Number |
16360438
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Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
安川 宏紀 広島大学, 大学院・工学研究科, 教授 (40363022)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小瀬 邦治 広島大学, 大学院・工学研究科, 教授 (40034409)
平田 法隆 広島大学, 大学院・工学研究科, 助手 (80181163)
肥後 靖 広島大学, 大学院・国際協力研究科, 教授 (20156582)
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Keywords | 船舶 / 波浪中動揺 / 操縦運動 / 操舵 / シミュレーション計算 / 水槽試験 / 耐航性能 / 理論計算 |
Research Abstract |
船の操縦運動は低周波数での運動であり,波浪動揺は比較的高周波数での運動であるという性質を利用して,低周波数と高周波数での船の運動方程式を導いた。その結果,波のない平水中においては既存のMMG型操縦運動モデル,直進航行時の波浪中においてはストリップ法に一致するような総合計算モデルが構築できることが分かった。 上記総合計算モデルを数値的に解き,実際に運動を求めることができるシミュレーション計算プログラムを開発した。具体的には,低周波数域における運動方程式(4元),高周波数域における運動方程式(6元)ならびに実際に運動を求めるための微分方程式(6元)の計16元連立の運動方程式を,Newmarkのβ法を用いて数値的に解き,操縦運動と波浪動揺の両方を同時に計算することに成功した。 SR108船型と呼ばれるコンテナ船模型を用いて,三菱重工長崎研究所耐航性能水槽(角水槽)にて,規則波中ならびに不規則波中における旋回運動,zig-zag運動,プロペラ逆転停止運動といった操縦運動ならびにそのときの波浪動揺の計測を行い,それらに及ぼす波方向,波高,波周期の影響について把握した。得られた実験データを,開発した計算法による計算結果と比較したところ,実用上の精度で良い一致を示し,本計算法の妥当性が確認された。 より一層精度良いシミュレーション計算のためには,船に作用する波漂流力を精度良く把握する必要がある。波漂流力に及ぼす船体斜航の影響を実験的に調査したところ,波浪中では,船体の斜航による減衰力が増加すること,その影響は無視できない大きさであることが明らかとなった。今後は,このような現象のメカニズムを明らかにし,今回提案した総合シミュレーション計算法の精度向上が課題である。
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