2004 Fiscal Year Annual Research Report
沈船による油汚染リスク削減を目指した高圧下の深海における油の微生物分解挙動解析
Project/Area Number |
16360444
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | National Maritime Research Institute |
Principal Investigator |
柴田 清 独立行政法人海上技術安全研究所, 環境影響評価研究グループ, グループ長 (20281991)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 一哉 (株)海洋バイオテクノロジー研究所, 微生物利用領域, 領域長
原 正一 独立行政法人海上技術安全研究所, 海洋汚染防止研究グループ, グループ長
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Keywords | 海洋汚染 / 油流出 / 船舶 / 生物分解 / 微生物 / 遺伝子解析 / 深海 / 重油 |
Research Abstract |
1.深海模擬実験装置の作成 深海環境を模擬できる高圧実験装置を製作した。この装置は圧力0〜35MPa、温度0〜40℃の範囲で使用するステンレス製、内容積約100mlのセルを2基もち、攪拌用マグネチックスターラー、および内部観察用側面ガラス窓を備えている。手動式注入器で気体でも液体でも加圧充填が可能であり、ニードル弁を介して試料水の一部を抽出採取することも可能としている。 2.高圧下油共存条件での微生物育成実験 相模湾沿岸で採取した海水に対してA重油添加と加圧による微生物コンソーシア変化を観察した。実験は(1)20MPa、7℃、A重油添加、(2)20MPa、7℃、重油添加なし、(3)常圧、15℃、A重油添加、(4)常圧、15℃、重油添加なしの4条件で、2週間緩やかに攪拌した後、海水中の微生物コンソーシアの構造変化を16SrDNA遺伝子を標的としたPCR-DGGE法(変性ゲル電気泳動法)によって観察した。 その結果、同じ海水から出発したにもかかわらず、それぞれの微生物コンソーシアに違いが見られ、それぞれの環境に適応する微生物が存在することが確認できた。さらに、(1)の深海条件下でA重油を添加した場合でもDGGで強いバンドが観察されたことから、このような環境でも重油に対して耐性を有する微生物の存在は確実であり、また、吸光光度計測によれば高圧条件において重油存在の方が菌体数が増加していることから、それが重油を資化する能力を有することが期待できると考える。 3.沈船情報の収集 沈船情報を収集するために、まず第2次世界大戦中に日本近海で沈没した船舶を中心に、沈船位置、水深、主要寸法、搭載物、船体折損状況などの情報を収集した。日本近海に沈んだ船舶は、おおよそ1000隻以上存在すると言われているが、現在までに約300隻の沈船データを収集した。
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