2004 Fiscal Year Annual Research Report
低放射化金属材料の照射損傷に起因するトリチウム蓄積量の実験的評価
Project/Area Number |
16360458
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高木 郁二 京都大学, 工学研究科, 助教授 (20206717)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森山 裕丈 京都大学, 工学研究科, 教授 (90127150)
森谷 公一 京都大学, 工学研究科, 助手 (50111943)
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Keywords | 照射損傷 / トリチウムインベントリ / イオンビーム分析 / バナジウム / 欠陥 / 低放射化 / 捕捉 / 回復 |
Research Abstract |
核融合炉プラズマ対向壁の低放射化候補材料であるバナジウムについて、トリチウムインベントリ(蓄積量)を評価するための実験的研究を実施した。 プラズマ対向壁には多量の中性子が入射するため、この環境を模擬するために中性子と同じ質量の水素イオンをバナジウム試料に照射し、損傷を生成させた。また、試料の片面を模擬重水素プラズマに曝し続けた。次に、イオンビーム分析法を用いて、試料中に存在する重水素の深さ方向分布をその場観察した。 実験で観察された深さ方向分布は、シミュレーションで予測した損傷分布に一致しており、照射損傷に起因する捕捉サイトが生成したことが確認できた。本研究の条件下では、捕捉サイトはほぼ重水素で占められていること、インベントリ全体に対する捕捉の寄与は最大80%に達することなどが判った。一方で、試料温度が450Kを超えると捕捉サイトの数が減少し始め、520K付近では完全に消滅することも判った。ただし、捕捉サイトは空孔または複空孔であり、これらの欠陥の回復挙動は材料中の不純物に大きく依存するため、バナジウム合金の場合には高温でも捕捉サイトが存在することが予想され、今後の実験で明らかにする必要がある。 インベントリには固溶するトリチウムも寄与するため、その量を評価するための再結合定数などの物性値も同様の実験によって求めた。その結果、プラズマに曝されている表面は清浄であり、再結合定数は溶解熱の単純な関数で表されること、固溶量はプラズマの条件を与えれば定量的に予測できることが示された。 以上をまとめると、500K付近を境界として、それ以上の温度では固溶のみを、それ以下の温度では固溶と捕捉とを考慮する必要があり、固溶量については定量的に、捕捉量についてはほぼ定量的に予測することが可能である。
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Research Products
(4 results)