2005 Fiscal Year Annual Research Report
粒子ビームを用いた環境・生体条件下での元素化学状態の迅速・高感度測定法の開発
Project/Area Number |
16360466
|
Research Institution | TOHOKU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
山崎 浩道 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (00166654)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松山 成男 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (70219525)
菊池 洋平 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (50359535)
|
Keywords | 荷電粒子励起X線分光(PIXE) / 荷電粒子ビーム / マイクロビーム / サブミリビーム / 特性X線 / 定量分析 / 有害元素 / 化学状態分析 |
Research Abstract |
本研究では、加速器からの粒子ビームを試料中の元素分析に用いる荷電粒子励起X線分光(PIXE)法と広範囲な溶液試料中の元素の化学状態を定量的に分離できるターゲット調製法を組み合わせて、環境試料中に極微量(ngレベル)で含まれる有害元素を迅速・高感度で測定できるシステムの構築を目的とします。 1.ろ紙電気泳動法では元素の化学状態を反映して濃度スペクトルの変化が陽子サブミリビームの2次元スキャンによって迅速に測定可能であるが、ng量の元素の化学状態測定では分析感度の向上のために展開領域の制限等の更なる改良が必要です。 2.極低BG有機薄膜を作成してサンプル支持膜として用い、陽子マイクロビームによるSTIM, RBS, PIXEを組み合わせたイオンビーム分析法を適用することによって、ミクロン領域の偏析物中の元素の化学形態を迅速に明らかに出来ることを確認しました。 3.人の生活に係る環境水中の濃度が厳しく制限されている有害元素の酸化状態をPIXE法によって迅速に定量するために、A)As(III)/As(V)およびCr(III)/Cr(VI)を分離濃縮できる均質薄膜PIXEターゲットの調製法ならびにB)重イオンPIXEによるCr, Pbの化学状態分析の検討を行いました。A)については、Asに対してリン酸塩共存下におけるIn(III)水酸化物共沈法、Crに対してはFe(III)水酸化物共沈法によってサブppb濃度で河川水中に存在するこれらの元素の酸化状態の違いによる有毒性評価が可能であること確認しました。B)については、C^<6+>,Ar^<15+>ビームをμg量の試料に照射する重イオンPIXEによって、エネルギー分散型の迅速な測定においても多重電離による元素の特性X線の強度比、X線スペクトルのピーク値および線幅がCr化合物ごとに変化することから、特にBGの観点からC^<6+>ビームを用いることで高感度な化学状態分析が行えることを明らかにしました。 以上から、元素固有の物理情報である特性X線を高感度で測定できるPIXEと元素の化学状態を反映するターゲット調製法の組み合わせることによって、環境試料中に極微量(ナノグラムレベル)で含まれる有害元素の存在量と化学状態を迅速・高感度で測定できるシステムを開発しました。
|
Research Products
(6 results)