2005 Fiscal Year Annual Research Report
複製遺伝子のマスター制御因子DREFと遺伝学的相互作用する因子の同定と機能解析
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16370004
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
山口 政光 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 教授 (00182460)
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Keywords | 細胞増殖 / 転写因子 / DREF / 転写調節エレメント / SkpA / タンパク質代謝 / クロマチン免疫沈降法 / 複眼形態異常 |
Research Abstract |
細胞増殖は、生物のもつ最も重要な機能のひとつであるが、増殖に関わる遺伝子産物の総体や、それらの発現を統括的に調節する制御機構、またそれらと発生・分化との関わりについてはほとんどわかっていない。DREFは、ショウジョウバエ複製関連遺伝子プロモーターに共通して存在する転写調節エレメントであるDREに特異的に結合し、それらの遺伝子の転写を活性化する転写因子として発見された。これまでにDREF遺伝子導入ショウジョウバエ系統を樹立し、DREFをショウジョウバエ複眼原基で過剰発現させると、DNA合成の誘導と光受容細胞分化の抑制、さらにアポトーシスの誘導が起こり、複眼形態異常(rough eye表現型)が引き起こされる事を明らかにしてきた。またDREFが誘導するrough eye表現型を抑圧または増強する染色体欠失領域については、X染色体、第2染色体、第3染色体上でそれぞれマップしていた。 平成17年度も染色体上の欠失領域内にマップされる変異系統を多数入手し、DREF過剰発現系統と網羅的に交配した。その結果rough eye表現型を変更する突然変異として、「新たにskpA遺伝子やRhoGAP遺伝子群を同定した。特にskpA遺伝子の転写調節領域には、複数のDREが存在しこれらを含むゲノム領域にDREFが結合していることを、抗DREF抗体を用いたグロマチン免疫沈降法や唾腺染色体の免疫染色により証明した。またDREF2本鎖RNA発現系統を用いたDREFノックダウンにより、内在性skpA遺伝子が低下することを明らかにした。またskpA-LacZ融合遺伝子導入ショウジョウバエを樹立し、skpA遺伝子のDRE配列がプロモーター活性に必須であること、さらにDREF過剰発現によりskpAプロモーター活性が上昇することを個体レベルで明らかにした。SkpAは、ユビキチンリガーゼを制御するSCF複合体のひとつであり、昨年度にDREFが翻訳開始因子の遺伝子群を制御する可能性を示唆したこととあわせて、増殖に伴うタンパク質代謝回転(合成と分解)の活発化にDREFが重要な役割を果たしていることが考えられる。
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Research Products
(4 results)