2004 Fiscal Year Annual Research Report
海洋表層の密度躍層を中心としたマリンスノーの動態と生物代謝との相互作用の解明
Project/Area Number |
16370010
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小池 勲夫 東京大学, 海洋研究所, 教授 (30107453)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 浩史 東京大学, 海洋研究所, 助教授 (50260518)
原 成光 宮崎国際大学, 比較文化学部, 教授 (50261243)
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Keywords | 海洋密度躍層 / マリンスノー / 有機懸濁粒子 / 微生物食物連鎖 / 亜寒帯太平洋 / 亜熱帯太平洋 / ピコプランクトン / 海洋表層 |
Research Abstract |
本年度は従来のマリンスノー計測装置を更新し、新たに水中ビデオカメラ装置を整備してマリンスノーの高解像度鉛直分布の検討を試みた。2004.11の淡青丸航海でこの装置のテストを行ったが、ビデオカメラと照明装置の連動に不備があり解像度の良い画像を得ることは出来なかったので現在調整中である。一方、本年度は2003.9-10の西部北太平洋における白鳳丸航海(北緯48度の亜寒帯から28度の亜熱帯までの5測点において、表層200mにおけるマリンスノーのサイズ分布、懸濁粒子のサイズ分布および、物理構造を同時観測)で得られたデータの解析を行った。得られた成果は、(1)大型懸濁粒子が乏しい外洋の亜熱帯においても密度躍層における200ミクロン以上の大型粒子の蓄積が始めて観測され、密度躍層における大型粒子の選択的蓄積が沿岸から外洋までの一般的なプロセスであることが示された。又、サイズ分布からは密度躍層での凝集による粒子の大型化が示唆された。(2)表層100mにおける300ミクロン以下の懸濁粒子の全体積の亜寒帯から亜熱帯への積分値は、北から南で1/5に減少したが、一方、表層100mでのマリンスノー全体積の積分値は約2桁減少した。この亜熱帯でマリンスノーが急減する理由としては、亜熱帯での食物連鎖が数ミクロンの微細藻類からスタートするため、少なくとも表層100mではマリンスノーの生成は、大型珪藻を出発点とする亜寒帯に比べて抑制されるためと考えられる。(3)しかし、生成されたマリンスノーのサイズ分布は亜寒帯の表層25mでは0.3-0.5mmサイズのものが卓越し、これに対して亜熱帯ではより1mm以上のサイズの大きいものが体積的には増加する傾向を示した。亜熱帯海域表層の方が亜寒帯海域に比べてより大きなサイズのマリンスノーが相対的に存在する理由として、マリンスノーの素になる懸濁粒子の違い、より大きな変質を受けた含水量の高いマリンスノーである可能性などが考えられる。
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Research Products
(2 results)