2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16370019
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
梅田 正明 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 助教授 (80221810)
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Keywords | 植物 / 細胞増殖 / 細胞分裂 / 細胞周期 / サイクリン / 植物ホルモン / 形態形成 / 情報伝達 |
Research Abstract |
植物のG1サイクリンはサイクリンDのみが知られており、一次配列上動物のサイクリンEに相当するサイクリンは存在しないと考えられてきた。ところが、最近のマイクロアレイ解析の結果、植物のサイクリンA3(CYCA3)がG1/S期に転写産物が蓄積する、一種のG1サイクリンである可能性が示唆された。本年度はシロイヌナズナの4種類のCYCA3について、細胞同調が可能な培養細胞MM2dを用いて細胞周期における発現パターンを解析したところ、CYCA3;1とCYCA3;2の転写産物がG1/S期に蓄積することが明らかになった。そこで、これらの遺伝子発現を制御する外的・内的シグナルを同定する目的で、MM2d細胞の培地成分から植物ホルモンやショ糖を欠乏させて遺伝子発現の変化を観察した。その結果、CYCA3;1、CYCA3;2ともにサイトカイニンに対して正の応答性を示すことが明らかになった。そこで、幼植物体をサイトカイニンで処理した際の遺伝子発現についても調べたところ、培養細胞と同様にサイトカイニン濃度依存的に正の応答性を示した。これらは、既に知られているサイクリンD3のサイトカイニン応答性と比べてもむしろ高いものであった。in situ hybridizationによりシュート頂における発現を詳細に解析したところ、茎頂分裂組織と葉原基で一様に発現していることが明らかになった。そこで、CYCA3を過剰発現するシロイヌナズナ形質転換体を作成したところ、シュート頂の成長が抑制されるなどの表現型が観察された。また、GFP融合タンパク質の細胞内局在についても解析したところ、核に局在するものの、それぞれに数個の強い輝点が観察された。以上の結果から、シロイヌナズナのCYCA3;1,CYCA3;2はG1サイクリンとして機能し、サイトカイニンのシグナルを細胞周期に伝達する重要な役割を担っている可能性が強く示唆された。
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Research Products
(2 results)