2004 Fiscal Year Annual Research Report
花粉表層構造の形成と稔性獲得に関する分子遺伝学的解析
Project/Area Number |
16370020
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
石黒 澄衛 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 助教授 (50260039)
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Keywords | シロイヌナズナ / FLAKY POLLEN / SHEPHERD / 花粉 / エキシン / ポレンコート / ステロール / メバロン酸経路 |
Research Abstract |
花粉の表層構造であるエキシンとポレンコートは、受粉の際に柱頭が同種植物の花粉であることを認識するのに使われるほか、花粉が昆虫や鳥に付着し運ばれる際の粘着物質として働いたり、アレルゲンとして花粉症の原因になったりする。こうした花粉表層構造がどのような機構で作られるのか明らかにすることを目的に研究を行った。 (1)flaky pollen(flk)突然変異体を用いたポレンコート形成機構の解析 シロイヌナズナのflk-1突然変異体の花粉はポレンコートを欠く。この原因を明らかにするため、FLK遺伝子の発現を解析した。FLK遺伝子はポレンコートの脂質成分であるステロール生合成経路の酵素(HMG-CoAシンターゼ)をコードし、発達中の小胞子や葯のタペート組織で強く発現するが、プロモーター領域にT-DNAの挿入があるflk-1突然変異体では、特にタペート組織での発現が減少していることがわかった。ポレンコートの成分はタペート細胞で合成され、タペトソームとエライオプラストの二つのオルガネラに蓄積したのち、タペート細胞の崩壊に伴って葯室内に放出され、花粉表面に沈着する。そこで、透過型電子顕微鏡でタペトソームとエライオプラストの発達の様子を観察した。その結果、flk-1突然変異体では、ステロールが蓄積するといわれるエライオプラストはほぼ正常に発達しており、むしろタペトソームの発達が著しく悪くなっていた。 (2)shepherd(shd)突然変異体を用いたエキシン形成機構の解析 野生型のシロイヌナズナの花粉を走査型電子顕微鏡で見ると網目模様が観察できるが、shd突然変異体の花粉では網目模様が崩れ、ひだ状の構造になる。四分子期のカロースの沈着には異常が見られないことから、小胞子期のスポロポレニンの沈着がうまく起こらないことがエキシンの異常の原因であると推定された。透過型電子顕微鏡による観察からは、特にエキシンの柱状構造の形成時に異常が見られ、さらにポレンコートの形成が異常になることも確認された。
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Research Products
(3 results)