2004 Fiscal Year Annual Research Report
単一神経細胞内の転写因子の量的変化から解明する動物行動の変容機構
Project/Area Number |
16370033
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
伊藤 悦朗 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (80203131)
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Keywords | real-time PCR / CREB / 学習記憶 / 分子動力学 / モノアラガイ |
Research Abstract |
本研究は,一つの神経細胞の中の特定の遺伝子発現が,どのように動物個体の行動変容を引き起こすのか,その機構を解明する手法を開拓し,そして実際に,遺伝子発現機構から生物の階層性に沿った形で行動変容機構を詳細に解明することを,最終目的としている. 平成16年度は,行動変容の一例として学習・記憶に着目し,それに関与している神経細胞一個の中の転写因子cAMP Responsive Element Binding Protein (CREB)のmRNAを定量する方法を開発した.ここで言う定量とは,mRNAのコピー数を正確に計測することを意味する. (1)単一神経細胞real-time RT-PCR法によるCREB mRNAの定量解析: 味覚嫌悪学習を施したモノアラガイから,学習・記憶の鍵を握るニューロンであるCerebral Giant Cellを単離し,単一神経細胞定量real-time RT-PCR法を用いてCREB1およびCREB2のmRNA量を定量し,コントロール群と比較した.その結果,同じ学習が施された動物でも,学習成績の悪い個体においては,有意に転写抑制型(CREB2)のmRNAが増加していることが見出された. (2)分子動力学シミュレーション: CREBとCRE配列との動的構造変化について分子動力学シミュレーションを行った.その結果,両者の結合にはMg^<2+>による水素結合が深く関与していることが示された.
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Research Products
(5 results)