2004 Fiscal Year Annual Research Report
ミツバチのダンス言語と攻撃行動を規定する分子的基盤の解析
Project/Area Number |
16370035
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
久保 健雄 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (10201469)
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Keywords | ミツバチ / ダンス言語 / 初期応答遺伝子 / 転写因子 / 脳 / 線虫 / 攻撃行動 / ウイルス |
Research Abstract |
本研究では、ミツバチが示す顕著な社会行動の中でも、特に「ダンス言語」と「攻撃行動」に関わる遺伝子候補の同定と機能解析を目的としており、本年度は以下の研究実績を得た。 1.我々は、ミツバチの社会行動に関わる遺伝子候補として、脳の高次中枢(キノコ体)選択的に発現する転写因子Mblk-1を同定した。本年度はその線虫ホモログMBR-1の神経系における機能と標的遺伝子を検索した。その結果、線虫の発育過程で余分な神経突起の除去が起きることを見出し、この過程にMBR-1が関わることを証明した。さらにMBR-1の上流因子としてPOU-ドメイン転写因子(UNC-86)、下流因子として神経分泌因子ZIG-3を同定した。 2.また、線虫の遺伝子がプリントされたmicroarrayを利用し、野生型とmbr-1変異株の間で発現量が変動する遺伝子を検索することにより、MBR-1の標的遺伝子の候補を多数得た。 3.ミツバチで初めて同定された新規な初期応答遺伝子kakuseiを神経興奮のマーカーとして利用することにより、ダンス蜂の脳では、キノコ体の介在神経細胞の1つである小型ケニヨン細胞が、選択的に興奮していることを見出した。このことは小型ケニヨン細胞がダンス言語の利用に関与することを示唆している。 4.我々は攻撃性の高い働き蜂の脳から新規RNAウイルス(Kakugoウイルス)を同定し、ウイルス感染がミツバチの攻撃性と関連することを示唆している。今年度は疫学調査により、両者の関連を詳細に調べた結果、攻撃蜂だけでなくコロニー全体にKakugoウイルスの感染が蔓延する例を見い出した。 5.攻撃性の高い働き蜂の脳に選択的に発現する遺伝子候補をdifferential display法で同定し、得られた候補遺伝子をプリントしたcDNA microarrayを作製した。来年度、検索を開始する予定である。
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Research Products
(5 results)