2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16370036
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
寺北 明久 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 教授 (30212062)
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Keywords | ロドプシン / 対イオン / 視覚 / シグナル伝達 / 多様性 |
Research Abstract |
対イオンに着目した光受容タンパク質の多様性の解明を目的として、(1)分子進化的に中間型と考えられるパラピノプシンの多様性を決定するアミノ酸残基と(2)祖先型に近い性質を有すると考えられる無脊椎動物型ロドプシン類(メラノプシン)の分子特性を解析するとともに、(3)多様な視物質のGタンパク質活性化能の違いをもたらす分子機構についての解析を行った。その結果、次の研究成果が得られた。 (1)分子系統的に異なる2種類のパラピノプシンを培養細胞系で発現することに成功した。その結果、1つはUV光領域に吸収極大を持つのに対して、もう一方は可視光領域に吸収極大を示した。両者の間のアミノ酸配列を比較し、異なるアミノ酸について、部位特異的変異体を作製し、解析を行った。その結果、ヘリックス2に存在する1つのアミノ酸が吸収極大の決定に受容であり、そのアミノ酸は脊椎動物視物質のUVと可視光色素を決定する残基とは異なることが示唆された。 (2)メラノプシンにも多様性が認められるが、多様なメラノプシン間のアミノ酸配列を比較し、部位特異的変異体を作製して、波長制御に関わるアミノ酸残基を脊椎動物視物質の場合と比較した。その結果、ヘリックス6に存在する1つのアミノ酸残基の違いが、およそ15nmの吸収極大の違いをもたらすことが分かった。このアミノ酸残基は、霊長類の赤と緑の視物質の吸収波長を決定しているアミノ酸残基と同一であった。すなわち、収斂的に波長制御のメカニズムが備わったことが分かった。 (3)前年度の結果から、脊椎動物型ロドプシン類の高いGタンパク質活性化能は、構造変化の大きさに起因していることが示唆された。そこで、構造変化を阻害する架橋を行い、その架橋により脊椎動物型ロドプシン類とパラピノプシンがどの程度Gタンパク質の活性化が阻害されるのかを比較した。その結果、パラピノプシンは脊椎動物ロドプシンより、暗状態で活性化状態に近い構造をしており、光で誘起される構造変化の大きさは脊椎動物ロドプシンの方が大きいとも考えられた。
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Research Products
(1 results)