2005 Fiscal Year Annual Research Report
昆虫の光周性における光受容器から出力系にいたる中枢機構の解明
Project/Area Number |
16370038
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
沼田 英治 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70172749)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
志賀 向子 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (90254383)
後藤 慎介 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 講師 (70347483)
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Keywords | ホソヘリカメムシ / ルリキンバエ / 脳間部 / 脳側方部 / 概日活動リズム / PDF / 成虫休眠 |
Research Abstract |
多くの昆虫は光周性によって季節の情報を知り、休眠に入ることによって季節の変化に対応している。光周性の機構には、光受容器・光周時計・出力系が含まれる。本研究では、ホソヘリカメムシとルリキンバエにおいて、光周性における光受容器から出力系にいたる中枢機構を明らかにすることを目的とする。本年度はホソヘリカメムシでは出力系に近いニューロンを、ルリキンバエでは光周時計部分の候補として考えられるニューロンについて解析し、以下の結果を得た。 ホソヘリカメムシ アラタ体へ投射している脳間部と脳側方部のニューロンをタングステン針を用いて選択的に除去し、休眠に及ぼす影響を明らかにした。その結果、脳間部ニューロンは光周性に関与しているとは言えず、脳側方部ニューロンが短日条件での休眠維持に重要であることがわかった。さらに、3群の脳側方部ニューロン(PL-1、PL-2、PL-3)の休眠に対する機能を調べるために、タングステン針またはレーザー照射により、これらの選択的除去を行った。その結果、短日条件ではPL-1またはPL-2とPL-3が残っていれば休眠し、ほとんどの脳側方部ニューロンが除去されて初めて非休眠となった。以上より、いずれか一群が休眠に重要な役割を果たしているのではなく、休眠維持にはPL-1またはPL-2とPL-3があればよいと考えられた。 ルリキンバエ 概日リズムに重要なPDFニューロンは大きく分けて3つの軸策束を持つ。このうち前大脳背側部へ伸びる軸索束にガラス小片をはさみ、情報伝達を遮断し、概日活動リズムへの影響を調べた。その結果、ほとんどの個体において恒暗条件下のリズムが無くなった。このことから、前大脳背側部へ伸びる軸索が概日振動の出力を担っていると考えられた。
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Research Products
(6 results)