2004 Fiscal Year Annual Research Report
東南アジアの熱帯季節風地域の微小菌類群集の種多様性に関する比較研究
Project/Area Number |
16370041
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
徳増 征二 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 教授 (80092526)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山岡 裕一 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 助教授 (00220236)
佐藤 大樹 独立行政法人森林総合研究所, 研究員 (30353709)
出川 洋介 神奈川県立生命の星・地球博物館, 技官 (00311431)
|
Keywords | 菌類群集 / 東南アジア / 熱帯季節風帯 / 南西諸島 / 腐生菌類 / ケカビ目 / 子嚢菌類 / 基質 |
Research Abstract |
平成16年度は、東南アジアの熱帯季節風地域の微小菌類群集とその北に位置する暖温帯南部のそれを比較することを目的とし、研究組織の全メンバーがタイ国のチェンマイ大学に10日間滞在し、同大学植物病理学科のチャイワット助教授の協力得て、熱帯系のフタバガキ科樹木が優占する平野部、温帯系のブナ科樹木が優占する周辺の山岳部で採集を行った。また、滞在中に同市で開催された国際菌学会連合アジア主催の国際シンポジウムに参加し、アジア各国の参加者と情報交換を行った。採集した試料は、一部現地で処理、分離を試み、残りは日本に持ち帰り、それぞれが研究対象とする菌群を分離し、研究を行っている。2005年3月に熱帯に接する季節風地帯として南西諸島を選び、与那国島、西表島、石垣島、沖縄本島、慶良間島にて土壌、リターなどを採集し、菌の分離を行っている。研究途上であるため詳細は明らかではないが、腐生菌に関しては熱帯季節風地域において優占している菌種の多くがその北に位置する暖温帯南部において優占していないこと、暖温帯で広く見られる冷温帯系の筋腫は熱帯地域においてほとんど検出できないことが観察された。また、暖温帯に広く分布する子嚢菌類の一部に、暖温帯では子嚢が熟さず主に無性的に繁殖すると推定されていた種が熱帯では子嚢胞子によって分散している可能性が示された。また、暖温帯で特定の基質に発生する種傾向の強いケカビ目菌が熱帯では広い範囲の基質に発生しているなど、個々の種の分布や生態に関して新知見を得ることができた。現在進行中の研究を遂行することにより東南アジアの熱帯季節風帯の菌類群集の菌特徴を暖温帯との比較によって明らかにできるものと考える。
|